内容説明
著者が前作『中国、敗れたり』(PHP研究所)で解説したように、中国は海軍力を大増強してアメリカを太平洋から追い出そうとしたが、失敗した。軍事面だけでなく、昨年8月には人民元を国際基軸通貨にするためにアジアやアフリカの国々に圧力をかけたが、人民元を準備預金として保持する国は少ない。そして今、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」が注目されているが、専門家のあいだでは「実質的な内容が明らかでなく、検討にも値しない空虚な政治宣伝」との見方が大勢を占めている。では、切羽詰まった習近平体制に残された選択肢は? 著者は、こう断言する。「もはや中国は核兵器に頼るしかない」。常識外れの中国は、核兵器を「抑止力」としてではなく、「使える兵器」と考えているとされ、アメリカ本土を核兵器攻撃する可能性もあるという。こうした動きは日本にどのような影響をもたらすのか? ワシントン情報から読み解く緊迫のアジア情勢。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
T坊主
11
ランド研究所は尖閣諸島が日中で開戦したら、5日間で日本が負けると分析し、アメリカは無視したり、最小限の対応をすればよいと。でもこの本で言っている事と正反対のことが同じアメリカそれも、シンクタンクでも有名な一つが言っている。真相はいかに?それにしても、何でもありの中国政府、民族、核を威嚇ではなく使える武器としてやってくるとは、本当に世紀末ですね。中国が最後の独裁国家として歴史から去って、又かっての群雄割拠の新中国になるのか、歴史は繰り返されるのか?ここ数年が山場のような気がするが???2016/01/30
ぷれば
6
かなりショッキングである。ロシアがウクライナ侵攻のあと「核兵器を使うことも考えた」と語ったことは記憶に新しい。が、日本を取り巻く国々においてもその危険な可能性が非常に高いことを本書は指摘している。米国にとっては抑止力となる核だが、覇権主義大国にとっては兵器のひとつが核である。大国の野望を果たすために、いとも簡単にスイッチを押すことも躊躇わない…そうした世界が現に今あることを我々日本人は認識すべきだと思う。国会の茶番も能天気ぶりも、いい加減卒業しなくてはならない、と痛感した。2015/09/17
九曜紋
5
冷戦時代、米ソの全面対決が回避されたのは凄まじい威力を持つ核の抑止力だった。通常戦力で米に及ばないことが明らかになった新興覇権国・中国は核を抑止力ではなく「使う兵器」にすることを決意した。安倍政権の憲法解釈変更、安保法案制定の過程等をみると、法手続きのうえでは間違っているとしても、核を使おうという邪悪な隣国を持つ国家の責任者として、その意図までを否定できなくなる。2015/08/01
Kenji Ogawa
2
習近平は米国との間で核戦争の準備をしているという。衛星攻撃、サイバー攻撃とすでに予行演習は進んでいるらしい。2015/11/09
Yoshitetu Takeyama
2
日本が今更手をつけてる集団的自衛権の日本側の思惑の一つが、アジア太平洋地域における人民解放軍の動きに呼応した島嶼防衛だが、戦略的にはすでに「アメリカの勝利」で決着しており、遅きに失した感が強いのだよと説きます。中国はすでに「通常兵器の概念で用いる核」での争いの準備に入っており、核削減を破棄したロシアも含め、実際に核を使用する戦争が起こると分析したアメリカもまたそれに呼応し、ハイテク核兵器の量産準備に入ってるのだと、アメリカ中枢にどっぷり浸かって保守アメリカ的思考に変貌した日高さんが報告してくれるます。2015/09/08




