内容説明
韓国の学校教育で漢字廃止・ハングル専用政策がとられるようになったのは、1968年春からである。漢字廃止政策以後の韓国では、教科書をはじめ、新聞・雑誌・書籍からレストランのメニューなどに至るまで、漢字はほとんどその姿を消してしまっている。韓国語は漢字を廃止したために、日常的にはあまり使われない、しかし概念や理念を表す言葉、各種の専門用語など、伝統的に漢語で表されてきた重要な言葉の多くが、一般には次第に使われなくなっていった。各種の評論・研究論文や新聞・雑誌の記事に、総じて書き言葉の世界に、語彙の恐ろしいまでの貧困化がもたらされたのである。とくに文学の面では、散文でも詩文でも、伝統的にあった豊かな漢字表現の大部分を失ってしまった。またぞろ「竹島問題」で気勢を上げる国の足もとに忍び寄る「文化崩壊」の危機に警鐘を鳴らすと同時に、本書の後半では、比較文化論として、韓国語の言い回し、ことわざを紹介。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
35
日本語の表現から漢字が全くなくなり、ひらがなだけの表示になると想像すると、どう感じるだろう?韓国では1970年に漢字が廃止されたそうで、ハングル、いわゆる「表音文字」のみでの表現となった(今の50歳以下くらいの人たちはほぼ漢字を読み書きできない、ということである)。表音文字なので、概念を伝える術がなくなってしまい、突っ込んだ議論がしにくくなった、あるいは、古い文献が漢字で書かれているから、その意味すら理解できない、という弊害があるという。日本との条約も多分理解できないんだろうな…。2013/08/11
西澤 隆
12
日本でも「漢字が文化障壁。やめないと先細りになる」論を展開する人もいる一方で、呉さんのように漢字を「論をイメージするための鍵」として非常に高く評価する人もいるからおもしろい。どちらにしても「昔の文献を読みにくくなる」のはしんどいな(日本も明治の言文一致運動他いくつもそういう動きがあって漢字仮名交じりだから誰でも昔の文献が読めるわけではないけれど)。後半のことわざなどの日韓対比はある意味「蛇足的」なのだけれど初期の彼女の作品のように「文化の違いからくるすれ違い」の手触りに再会できてよかったなとも思いました。2020/09/25
レコバ
9
民族意識から漢字を廃止したということだが、日本でのマーケティングを意識した為なのかは不明だが、そこに至る熱量に関する分析が無いのもったいない。語彙力の低下や過去文献へのアクセスの問題など容易に想像しうる問題を甘受してでも、得たかったものあるいは捨て去りたかったものにこそ分析する価値がある様に感じた。慣用句の日韓比較それ自体は興味深いものだが、このタイトルである以上、蛇足としか評しようがない。2020/07/15
Humbaba
9
感じが廃止されたことで,言葉の8割が使えなくなった.話し言葉は残ったとしても,それだけでは深い思索をすることは困難である.人は言語によって思索を深めていく以上,口語だけでは概念を考えることは難しくなってしまう.2011/08/20
CapH17
7
小さい頃漢字を書くのが苦手で漢字なんて無くなればいいのにと思っていたが、大きな間違いだったと気付かせてくれる本。2018/04/19
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