講談社文芸文庫<br> 凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論 上下合本版

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講談社文芸文庫
凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論 上下合本版

  • 著者名:蓮實重彦【著】
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 講談社(2015/08発売)
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内容説明

「凡庸」は人類にとって普遍的な概念ではなく、ある時期に「発明」された優れて歴史的な現実であり、その歴史性は今なお我々にとって同時代のものだ――『「ボヴァリー夫人」論』(2014年)の執筆がすでに始まっていた1970年代、著者の心に忽然と燻りだした19世紀フランスの作家マクシム。今では「フロベールの才能を欠いた友人」としてのみ知られる謎多き人物を追い、時代と文化の深層を描く傑作。芸術選奨文部大臣賞

目次

講談社文芸文庫版への序文
『凡庸な芸術家の肖像』への序章
『凡庸な芸術家の肖像』第一部
I 蕩児の成熟
II 蕩児は予言する
III 特権者の代弁
IV 開かれた詩人の誠実
V 韻文の蒸気機関車
VI 凡庸さの発明
VII 旅行者の誕生
VIII 芸術家は捏造される
IX 仮装と失望
X 写真家は文芸雑誌を刊行する
XI 編集者は姦通する
XII 友情の物語=物語の友情
XIII 『遺著』という名の著作
XIX 自殺者の挑発
XV 教室と呼ばれる儀式空間
XVI 説話論的な少数者に何が可能か
XVII イデオロギーとしての倦怠
XVIII 新帰朝者の自己同一性
XIX 日本人の模倣癖と残忍さについて
XX 才能の時代から努力の時代へ
『凡庸な芸術家の肖像』第二部
I 崩壊・転向・真実
II 夢幻劇の桟敷で
III 外面の痛み=内面の痛み
IV シチリア島の従軍記者
V ふたたび成熟について
VI バヴァリアの保養地にて
VII 徒労、または旅人は疲れている
VIII 文学と大衆新聞
IX 変容するパリの風景
X 物語的配慮とその許容度
XI 黒い小部屋の秘密
XII パリ、または数字の都市
XIII 排除さるべき落伍者たち
XIV 素朴な政治主義者
XV 回想記作者の悲劇
XVI 犠牲者の言説
XVII 魔女とテロル
XVIII 性と権力
XIX いま一つの『狂気の歴史』
XX 密告者の誕生
『凡庸な芸術家の肖像』第三部
I 母と革命
II 臆病な話者は何を恐れるか
III 四輪馬車と鉄鎖
IV 足の悲劇
V 旅行靴と風見鶏
VI 帝国の狩猟地にて
VII 皇妃と人道主義
VIII カルタゴと晩餐会
IX 香具師と逸脱
X 図書館と劇場
XI 大衆化という名の事件
XII 通俗小説の時代
XIII ミイラと特権
XIV 警視総監との友情
XV 犠牲者の言説
XVI 打たれなかった弔電
XVII 葬儀のあとで
XVIII 凡庸な嫉妬の物語
XIX 敵意を誘発する装置
XX 黄昏──夕暮どきの言葉
『凡庸な芸術家の肖像』への終章
あとがき
解説 工藤庸子
年譜

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