内容説明
「死神」と「花嫁」二つの顔を持つ女優。彼女の人生にはいつも一人の女性がいた。激動の昭和初期、「銀幕の花嫁」と呼ばれる女優・木下千鶴は、清楚な外見とは裏腹に勃興期の映画業界で成功を収めていく。だが彼女には、少女時代に別れて以来、一度も会うことのない美しい異母妹がいた。大スタアの生涯から消えることのない十歳から十五歳のたった五年間の記憶とは。『流転の薔薇』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harupon
18
昭和初期「銀幕の花嫁」と呼ばれた女優木下千鶴の波乱万丈の物語。読み応えがありました。先月読んだ短編集「四百三十円の神様」の「ヒロイン」はこの小説のスピンオフと知り、この本編を読みました。木下千鶴享年86歳。読み終えた今、しみじみと彼女の人生を振り返っています。※主要参考文献27冊のひとつ「女優の運命: 私の履歴書」(東山千栄子、水谷八重子、杉村春子、田中絹代、ミヤコ蝶々)昭和の大女優5人、この文献ちょっと興味沸く。2022/02/16
いたいけなべあ
7
「愛憎」って、紙一重というよりほぼ同義なんだろう、とそう思う。 芸者の子として産まれた少女が女優としてのし上がり、腹違いの兄妹たちとの複雑な感情に絡み取られつつ駆け抜けた生涯。たった5年、同じ家で過ごしただけの兄妹たちになぜここまで搾取され続けなければならないのか。ひどすぎる。ひどすぎるよね。でも切ろうと思えば切れるその関係をもしかすると、そんな関係であったからこそ千鶴は必要としていたのだろうか(つづく 2015/05/23
こずえ
5
先月読了。で、あ…黒加藤さんだと。個人的にはホラーでした。いやホラーじゃないけど…黒い朝ドラ…!昭和初期の女優一代記なんですが、異母姉妹との情念的な関係が黒い。昭和の色んな女優、監督さんの顔がちらつくのもまた楽しい。朝ドラや昼ドラが好きな方は絶対楽しめます。おすすめ。2015/08/26
gachi_folk
5
まさに「木守り」のような人生をおくった千鶴。冬枯れの木にひとつ残された柿の実は、ひとり息子のようでもあり、自分自身のようでもある。そして愛憎乱れ最後に残った鈴子。最後の実がもたらす日々の生活への影響、人生のベクトルを見届ける。これも自分自身なんだな。2015/06/04
yamabon
4
「銀幕の花嫁」と呼ばれた女優・木下千鶴。芸者の子として生まれ、腹違いの兄妹の家に出され、ひょんなことから女優としての道を進むことになるが、キャメラのフレームから外れたところではその愛称とかけ離れた波乱万丈の人生を歩んでいた。自分を捨てたはずの母、病床にあっても千鶴を欲し離さなかった一史、困窮しても驕りだけはなくさず千鶴に無心する史樹、その弟・文太、優しく美しい妹・鈴子。彼らの存在が常に千鶴から離れなかった。一見疎ましいその存在こそが「銀幕の花嫁」である千鶴を支えたのかもしれない。女は強く、美しいのだった。2015/06/13
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