内容説明
アメリカでは、なぜ反インテリの風潮が強いのか。なぜキリスト教が異様に盛んなのか。なぜビジネスマンが自己啓発に熱心なのか。なぜ政治が極端な道徳主義に走るのか。そのすべての謎を解く鍵は、米国のキリスト教が育んだ「反知性主義」にある。反知性主義の歴史を辿りながら、その恐るべきパワーと意外な効用を描く。※新潮選書版に掲載の図版の一部は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あちゃくん
112
アメリカで発生した反知性主義について、キリスト教の伝播していった歴史を踏まえて丁寧に解説した本です。単に知性に反対するということではなく、知性と権威が合わさり固定化することに対する、平等主義的な反論が反知性主義だという指摘は、なるほどと思いました。来年には大統領選挙があって誰が次期大統領になるか興味のある中で、アメリカという国を成り立たせているものを知る事ができてとても良かったです。2015/12/30
うえぽん
67
現東京女子大学長の神学者による米国における反知性主義の解説。17世紀半ば以降の初期ピューリタンはOxbridge等の大卒がほとんどで、Harvard, Yale, Princetonは、その後継牧師の養成学校として誕生。反知性主義の前提はそうした知性と権力の固定的結び付きへの反発にあるとする。今のメガチャーチの淵源は、1730年代から少なくとも3度の波があった宗教的平等主義を基とする信仰復興運動であり、印刷業の勃興やビジネス精神により全米や世界に広がったという。読後はトランプ節の受け止めも変化するだろう。2025/04/29
あらたん
61
とても面白かった。反知性主義のイメージが変わった。反知性主義とはエリート支配に対する否定であり、知性そのものへの否定ではない。知性の根拠を聖書に求めるのか科学に求めるのかの違い。それは反カトリックで始まったアメリカの成り立ち(=平等への信仰)に深く根差したもの。新しい移民国家であるアメリカだからこその対立軸。 また、約200年前の大統領ジャクソンと現代のトランプの類似性にも驚かされた。歴史は繰り返す。 2024/04/22
Nobu A
60
他著の言及から辿り着いた本。アメリカ発祥の知的権威やエリート主義に対して懐疑的な立場を取る主義・思想を歴史的背景から紐解き解説。レーガン元大統領とピューリタンの関係性を表すプロローグから始まり、キリスト教の土着化が生み出した反知性主義が移民の国にどのような影響を与えてきたか歴史を追っていく。読むとアメリカ特有だと分かる。また、あとがきで日本版反知性主義者に学があるホリエモンや孫正義を挙げているが、それこそ戦後の復興期に活躍した田中角栄ではないのか。現代なら西村博之や松本人志辺りかな。色々と勉強になった。2021/08/25
マエダ
60
本来反知性主義は知性そのものへの反対でなく、それに付随する何かへの反対で、社会への不健全さよりもむしろ健全さを示す指標であったという。最近よく聞く反知性主義に対して歴史から学べる一冊。2019/10/21




