内容説明
クリスティーナは一枚の絵に見入っていた。そのとき、うしろで低い魅惑的な声がした。振り返ると、黒髪の野性的な男性が立っていた。ガブリエル・マルケスと名乗ったその男性は、「君が作品を鑑賞するのをずっと見ていた」と言い、一歩近づいた。クリスティーナの胸は騒いだ。画廊の中には私より魅力的な女性がたくさんいるのに、なぜ彼は私に声をかけてきたのだろう。私は、こんな危険な魅力の漂う男性に好かれるタイプではない。彼は強引にクリスティーナを誘い、甘い言葉をささやき、またたく間に彼女をとりこにした。クリスティーナは、情熱的な愛に幸せいっぱいだったが、心の片隅には、本当に愛されているのかという疑いが根づいていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糸車
10
母と自分を捨てた男への復讐ばかり考えていたヒーロー。それはある意味彼にとって人生を生き抜く支えでもあったんだと思う。借りは作らない、受けた傷は同等に返す。シリーズものを単品で読んでいるので、前後の事件がよく分からないのですが本当は繊細なヒーローの葛藤は伝わってきました。ヒロイン父娘の絆を取り戻すために負債を肩代わりしたり、深刻な病状を告白するよう勧めたり、彼女を傷つけた負い目だけではない愛情が伝わってきたのがいい。しかし、ヒーローの出自が突飛でこの先どういう展開になるのか全く想像出来ない。続きを探すべき?2015/05/26