- ホーム
- > 電子書籍
- > コミック(少女/レディース)
内容説明
神様に守られた場所にある、
アトリエ「ぱらいそ」で絵画を学ぶ少女たち。戦況が悪化していく中で、厳しい現実に絡め取られないように、それぞれの天国を探し求める。『cocoon』『アノネ、』に続く、少女×戦争×ファンタジーシリーズ三部作完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
67
長崎の原爆をモチーフに描かれたファンタジー。過去のお話のようで、そうでもない感じ。教会で絵を習っている少女の視点で話は進む。今日マチ子さんのサラッとした優しい絵柄から、胸をざわつかせるヒリヒリ感が伝わってくる。理不尽さと憤り。白と黒と灰色。心の闇の象徴だった、悪の右手は…。やるせないけどラストに救いはあった。2024/08/02
ニッポニア
39
原爆をモチーフ、ちゃんと昇華させるところがプロフェッショナル。この世界の片隅で、にも通じる、あの頃、こんな少女たちが多く死んだのだろう、戦争と青春を両立させることに罪はない。右手のこと。ケースからこぼれた絵の具が爆弾になる描写、素晴らしいですね。盗むとその分だけこの世が一つ軽くなったような気がする。夜が白い。白い絵の具くらいで、世界を白く塗り替えられるとでも思ったの?この日の夜、私は黒を取り戻した。デパートの一階を煮詰めたみたい、香水の瓶は私たちの手榴弾だ。2025/04/05
ピロ麻呂
36
cocoonに引き続き読了。帯の通り「少女×戦争×ファンタジー」で、詩的な文章により戦争の悲惨さを訴える。夢か現か…漠然としているけど救われる最後。もし、自分たちが戦争に巻き込まれ、死を身近に感じながら生きていくとしたら?…とても考えさせられる作品でした。2019/09/27
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
24
「夜が白いわ」「白って実際のところ色がにごるでしょ」「何もきこえないわ」私の右手は何を信じていたんだろう。少女期から脱却することへの抗い。白と黒。両極端の抵抗。ガラスの香水瓶の手榴弾で、少女の毒を、香りを拡散して、セカイを甘くフランベしていく。燃えつくせと。失うことで得られるもの。「ときどき、君も握り返して」2015/12/12
マツユキ
16
教会で絵を学ぶ少年少女の物語。似た絵を描く双子の少年少女、右手が盗みを働く少女、半島出身で体を売って生きる少女。ナガサキに原爆が落とされたあの時代なんだけど、いつの時代でもあるような気がします。原爆後の世界での二人の振る舞いは悪なんだけど、妙に輝いて見えて、判断に困る。罪を犯しながら、生きる、また繰り返してしまうかもしれない=戦争というのも違うかなと思いつつ、これからも生きていく少女の姿が印象に残りました。2023/08/11