リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門

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リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門

  • 著者名:井上達夫
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 毎日新聞出版(2015/08発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784620323091

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内容説明

安保法制、憲法改正、歴史問題、朝日新聞問題・・・真のリベラルは、今いかに考えるべきか。
リベラリズム論の第一人者、「怒りの法哲学者」井上達夫東大教授が、右旋回する安倍政権と、欺瞞を深める胡散臭い「リベラル」の両方を、理性の力でブッタ斬る!

【本書の内容から】
「自由主義」にあらず/「憲法九条」削除論/「護憲派」の欺瞞/「平和主義」の論理的破綻/安倍政権「集団的自衛権」の愚/リベラルからの「徴兵制」提言/「悪法」も法か/「主権国家」の必要/「世界正義論」への道/「哲学」の死

【著者「あとがき」より】
 いま、「一強多弱」と言われる自民党の圧倒的優位の下で、安倍政権による政治の右旋回が急速に進む一方、野党勢力は民主党も他の諸党も党派間・党派内で右から左まで分裂し、リベラルな対抗軸は結集されていない。
それどころか、慰安婦報道問題等での不祥事を契機とする朝日新聞へのバッシングに象徴されるように、「リベラル嫌い」が、「右翼」や「ネトウヨ」の枠を超えて、一般の人々の間にも広がっている。しかし人々に迷いもある。たしかにリベラル派を気取るメディアや知識人は胡散臭い。でも強引に右旋回する安倍政権とそのシンパにも危うさがあり不安だ、と。
 リベラリズムの哲学的基礎を解明し、その観点から法と政治の問題を考察してきた私には、まさにいま、この状況下でこそ、リベラリズムの原理とは何かを一般社会に対して説明し擁護する知的・実践的な責任があるのではないか。いつやるのか。いまでしょう。(中略)本書は、現下の政治状況に対する応答を動機としているが、単なる時局論ではない。時局的問題にも論及しているが、主たる狙いは、時局的問題を読者が自ら筋道を立てて原理的に考察するための哲学的視座を提供することである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Y2K☮

37
基本軸は他者に対するフェアネス。もし自分だったらの反転可能性。頭に入れておくべきは多種多様な国家体系に通底すべき「正義概念」とそれに伴う法の「正統性」の認識だ。天皇制や9条に関する見解はいわば各論で、総論さえ押さえておけば導き出される答えが人によって多少ずれても間違いにはならない。何でも即断する政府は一見頼もしいが実は危険でもある。悪法も法。十分に迷った後では決断を躊躇わないという形が正解なわけで、熟慮と議論の意味をもっと考えないと。官僚や政治家も我々と同じく愚かなのだ。法とは何かという法哲学を学びたい。2019/08/22

Y2K☮

36
真のリベラルは真の保守と同様、もはや右でも左でもない。どちらの欺瞞も許さない。たとえばイラク戦争に費やした予算で貧困死する人々をどれだけ救えたかとアメリカを批判し、同時にそういう米軍の庇護に甘え、沖縄などに負担を押し付けて平和を謳歌する日本の「タダ乗り」も叩く。良心的拒否権を認める徴兵制という発想は一理ある。アジア女性基金による慰安婦への謝罪と補償やドイツの戦争責任に関する実態も勉強になった。大事なのはフェアネス。己が相手の立場でも受け入れられるかという反転可能性。そして独善性に陥らず、批判に学ぶ寛容さ。2018/02/07

tetsu

27
★3 「リベラリズムの哲学的基礎を解明し、その観点から法と政治の問題を考察」してきた著者による、一般読者向けの本。毎日新聞出版社の志摩和生のインタビューに答える形式。 あとがきで「明晰性を過度に犠牲にせず平易に語ることは、言うは易く行うは難し」というように、なかなか難解でした。同様のテーマをもっとわかり易く書いているのが橘玲でこちらは読みやすい。 ただ、井上達夫の「世界正義論」は読んでみたい。 2021/04/01

しゃん

27
The Economist誌でリベラリズムの特集記事があったことをきっかけに、本書を読んでみた。途中で理解できなくなったところがあったけども、インタヴュー形式で語られているので、結構分かりやすかった。理論のための理論ではなく、絶えず現実の政治経済的問題を克服するための理論という観点で説明されていたのがよかった。サンデル教授の考え方の変遷の解説も興味深かった。2018/10/11

takeapple

26
リベラリズムにとって大事な概念は、自由ではなく、寛容だということ。 集団的自衛権は違憲であることは論を待たないが、現行の日本国憲法では、個別的自衛権を認めることも違憲であり、そのような解釈改憲をやってきた流れが、安倍政権の支離滅裂な状況を作り出しているということだ。 さらに例外なき徴兵制を敷いて軽武装にするが、それは憲法には載せない、9条削除論が井上さんの主張である。 立憲主義の大切さがよくわかる一冊。2015/08/21

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