内容説明
天皇陛下の平和を希求する強い気持ちは、どこに源流を発しているか──膨大な文献と証言から、ご誕生からの歴史的、個人的事蹟を丹念に読み解き、「人間」としての天皇の自己形成の道程をたどる。果てしない慰霊の旅と祈りの原点とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
25
共感することの多い平成天皇のお言葉。その平和主義を形作ったのは、幼少期の戦争体験、家庭教師の米国人ヴァイニング夫人、教育参与の小泉信三氏らによる教え、そして理知溢れる美智子妃の存在だったんですね。政治家の言葉がどんどん軽くなり、天皇のそれは益々重くなっている今の日本社会。これでいいのか、ちょっと不安になります。2015/08/29
樋口佳之
8
生前退位の議論で共産党が「本人の意向が確認できないのでコメント差し控える」という記事を読んでちょっとショックを受けて読んでみました。(憲法論でも法律論でもなくまず本人の意向なのね。)同じ一人の人間が象徴という地位を一生に渡って義務づけられる事の問題性を考えるなら、それも大事かも。/「満州事変にはじまる~」談話以上でも以下でもない方々と思っていましたが、もう一歩踏み込んだ生き方を重ねて来られた方なのですね。/ヴァイニング夫人の話も初めて知る事ができました。2016/07/17
sasha
5
やはり大きな影響を与えたのはヴァイニング夫人と小泉信三氏なんだな。美智子皇后という伴侶を得たことも大きいのだろう。今上陛下のお考えになる平和は単に戦争がないだけではない。それは国民生活が安定していること。常に国民と共に歩み、日本国憲法を尊重し、象徴天皇としての在り方を具現化しようとされている。ご高齢になられても慰霊の旅や被災地への訪問を続けられている両陛下のお姿には頭が下がる。改憲し、天皇は国家元首と書き換えようとしている人たちは、折々の今上陛下のお言葉を読み返してみるといい。2015/10/10
Gen Kato
4
先日放映されたNHKドキュメント番組を観て、天皇陛下の「思い」を知りたくなった。余人とは比較にならない立場、制約の中で、しっかりと自身の方向性を打ち出し、それを重ねて来られた皇太子~天皇即位後の歳月だったのだと改めて理解する。2018/12/29
ナポリノロク
4
以前から人物としての今上天皇には興味があり、先日の「お気持ち」をきっかけに読んでみた。生きた時代が複雑だったこともあり、常に新しい天皇像を模索していたことがよく分かった。2016/08/23
-
- 電子書籍
- 土と生きる - 循環農場から 岩波新書