内容説明
有史以来、格差は存在した。近代以降、上流階級が自らの力を見せつけるために、余暇や服装・家具・住宅・美食などの代行消費をするようになる。その虚栄心が消費の本質である。有閑階級は消費を牽引するので、社会的に保護される一方、下層階級の消費を減少させ、新しい思考や適応に必要な努力を削ぐ。消費社会に内在する格差の構造を見事に抉りだした社会経済学の古典です。読み易い訳文、充実の訳注、「附論」付き増補新訂版。(講談社学術文庫)
目次
はしがき
凡 例
第一章 序 説
第二章 金銭的な張り合い
第三章 顕示的閑暇
第四章 顕示的消費
第五章 金銭的な生活様式の基準
第六章 金銭的な好みの規範
第七章 金銭的文化の表現としてのドレス
第八章 産業からの免除と保守主義
第九章 古代的特質の保存
第十章 現代における武勇の存続
第十一章 幸運を信じる心
第十二章 信仰心や忠誠心に貫かれた儀式
第十三章 妬みとは無縁な関心の存続
第十四章 金銭的な文化の表現としての高等教育
附論 経済学はなぜ進化論的科学でないのか
訳者解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
43
モノ作りの効率性や効用の最大化による功利主義的な経済人のモデルではなく、有閑階級の発生と彼らによる顕示的な消費と思考習慣、それらが中流階級、下流階級にも広がったことが経済の発展として理解されたという。経済の全体を論じるには無理があるが、人類学的な読み替えは有効だ。消費社会を予言したといえば見事に当てはまる。要はモノの見方の変化に着目していて、極端に言えば経済には実質は無いことになる。ノルウェーからの移民の子で、不遇だったが転機となった前後に書かれた本だ。2025/04/12
ちゅん
6
ほとんどの経済的活動は顕示的消費という枠からぬけれないのですね。古典派経済学が占める19世紀のアメリカ。ヴェブレンの主張は奇抜だったのかもしれませんが、普遍的かと思います。2019/01/23
ががが
4
有閑階級、英語だとLeisure Classとなるこの社会的集団は、本来人が生きるのに必要であるお金を、自分が特権的であることをアピールするために消費する存在である。現代社会においては、我々のほとんどがこの階級と同じ論理でものを消費している。ブランド衣装やスポーツ観戦の意義、時間と労力をかけて培われて涵養される特殊な技術や教養までもを一貫した論理で説明する筆致に私たちの経済活動の深層を照らされているような気になる。後半は「顕示的」という言葉をキーに読んでいったが、後半の数章は理解が難しかった。2016/11/11
かずい
3
120年ほど前に書かれた本。ボリュームがあり考察が長く何について論じていたか迷うことあり。有閑階級を資産の蓄積で生じた階級。装飾品や宗教文化産業などから考察。12章の有閑階級と下層階級の違いに「産業に思考習慣を適応できなく栄養不良、現代的見方や慣れることの機会の欠如などであり、身につけることによって貧困から脱出できるのではと思う。国や時代の違いはあれ、読み継がれている面はある。2025/09/23
ぽん教授(非実在系)
3
今で言うところのマウンティングの話。プラグマティズムのいうところの有用性でばっさりと見せびらかし消費やちやほやを切り捨てまくるヴェブレンは、自らある種の宿命めいた立場に自覚的に置いて戦い続けようとしている。今で言うところのウェイな方々への本能的嫌悪をいたりところから感じさせる苦労人の鑑である。大衆の反逆と見せびらかし消費が氾濫する現代は残念ながらヴェブレンの戦いもむなしくよりひどい状態であり、今でこそ読まれるべきである。2016/07/01
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