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内容説明
極秘海戦史でわかった語られざる真実。連合艦隊司令長官・東郷平八郎とその参謀・秋山真之。この軍神と天才によって敢行された丁字戦法によって、連合艦隊はロシアのバルチック艦隊を撃破――。日本海海戦の勝利は胸のすく快挙として昭和の軍国主義イデオロギーの核心を形成していく。その伝説の影響は今日にも及ぶといって過言ではない。これまで明らかにされることのなかった史実を、第一級史料『極秘明治三十七八年海戦史』を丹念に読み解き、浮き彫りにするとともに、神話を作りあげていったメディアの側をも批判的に検証する。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
28
秋山真之が天才参謀と呼ばれることになった日本海海戦を中心に日露戦争の海戦を軍の内部資料、新聞報道、日露戦争後の史談会記録の三点から見直した一冊。小説などでは計画通りに進めて30分で決着したとしているが、実際はバルチック艦隊と正面から向かい合う形で遭遇し、同航戦(敵艦隊と並走する形)のために右舷に切るべきところを左舷に切ってしまい反航戦(敵艦隊とすれ違う形)になります。さらに第二艦隊は第一艦隊の判断ミスを尻目に独断専行し、バルチック艦隊と単独で交戦したという展開だったようです。2022/06/26
Tomoichi
18
日本海海戦を公刊「明治三十七八年海戦史」昭和に発見された「極秘明治三十七八年海戦史」当時の戦捷報告や新聞・軍の広報などを資料に「敵前大回頭」「丁字戦法」などの伝説を批判的に検証した一冊。秋山参謀の作戦が最終的に採用されなかった事に関して著者は執拗に彼が失望したように書き立てるが、作戦家であればあらゆる状況に合わせて作戦を検証するので作戦案に捨て案はない。ケーススタディーによってどういう状況でも対応できるようにするのが参謀である。海戦に勝ったから失望なんてしてないと思う。新聞記者にはわからんか?⭐️4つ。2018/06/22
鐵太郎
6
秋山真之に関していろいろ批判的なことも書かれていますが、著者が虚像を曝いているのは、日本海海戦時の連合艦隊先任参謀、秋山真之少佐ではなく、秋山真之神話です。その辺誤解のないように。秋山は最前線にあって、さまざまな錯誤も混乱もありましたが、名参謀と呼ばれるにたる実績を上げています。秋山真之が丹誠込めて書き上げた文章は、今も名文の誉れを失っていません。2007/09/14