講談社選書メチエ<br> 治癒の現象学

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講談社選書メチエ
治癒の現象学

  • 著者名:村上靖彦【著】
  • 価格 ¥1,485(本体¥1,350)
  • 講談社(2015/07発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062585002

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内容説明

哲学と精神病理学、その交叉点で探究する「回復すること」の核心。人が「回復する」こと、とくに不安や精神の病から回復するとは、いったいどのような出来事なのか。「治る」という不可思議な経験の意味と構造を求めて、フッサール以来の現象学が培ってきた「経験の構造」の探究を、精神病理学の臨床的知見と交叉させて、あらたな地平を切り拓く試み! (講談社選書メチエ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

11
現実による触発によって行われる意味の生成を創造性と定義したうえで、筆者は創造性の回復として治癒について考察を進める。基盤となる方法は現象学だが、フッサールのそれを批判的に継承し、空想身体(夢のなかで構成される身体感覚のこと)の組織化という考えをもとに健やかな人も病者のいずれもが、いかに意味を生み出しうるかを論じる。P.109から114にかけて述べられる主体と無関係に自律的に生成される意味についての記述が興味深い。フロイトやラカンの理論を援用しジュネの"歌"について論じる終章は治癒による藝術論として読める。2020/02/05

ポカホンタス

4
以前、ざっと流し読みして、全然ピンと来なかった本。その後勉強会で同じ著者の『自閉症の現象学』を読んで大変面白かったので、あらためてこの本を読み返してみたら、今度はすこぶる面白い。例に挙がっている症例が、精神分析のものが中心なのでとっつきにくいが、哲学的に、治癒とはどういう現象かを、きっちりと解説してくれる。著者独自の用語がたくさん出てきてはじめは戸惑うが、馴染んでくればすっきり頭に入ってくる。レヴィナス、メルロポンティ、ラカンらの現代思想が使いこなされているのも楽しい。2013/05/23

袖崎いたる

3
著者も言っているように、村上靖彦の『方法序説』な哲学書。現象学と精神分析とを背骨にして綴られる思考の筋道たるや、濃厚かつ深淵。治癒という現象の構造を精神病の症例や小説やとを参照していきつつ輪郭づけていく。用語が独特だが、現実触発は空想身体を通して起こり、その触発において意味を享受する。その享受仕方には型があって、その型が頓挫するときに病は起こり、その型の立て直しに(鏡像段階よりも根本的な視線触発を介して)治癒のポテンシャルを見てとる。厚い本ではないが濃密な議論で、個人的にはかなり強めな一冊と認識せられた。2025/04/22

水菜

3
空想身体、超越論的テレパシー、他者との関わりなくしては成り立たない自己、理解しきれなかった部分も多いが、面白かった。2014/07/18

しまざき

1
著者は臨床家ではなく精神分析学者なのだなあ。クールでみっちりと詰まった精密な眼差し。 現実(とくに他者)と交わって意味をうむことを「創造」とし、この創造によって主体が作り変えられ、行動が変容し、再度現実に介入する、これが治癒であるとし、その経験がどのようであるかを説いたもの。治療と言うけれど、心理臨床の治療よりずっと広範囲のものを扱っているようだ。私は精神分析には多少馴染みがあるが、現象学のほうがちっとも分からんので、肝心なとこがいまいち分からん。2021/10/29

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