内容説明
イスラームの基本的概念と、20世紀終盤の世界的な「イスラーム復興」の動きを社会人類学者が解説。急進的な「イスラーム主義」運動は、「近代欧米社会より遅れている」から発生した一部の特殊な勢力ではなく、1970年代以降に、近代化と近代教育を経験したムスリムによって担われてきた「イスラーム復興」の動きの中で生じてきたものだという。2000年に執筆され、その後のイスラームをめぐる動向を的確に予見した必読書。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおた
10
ニュースや新聞の範囲だけ知っていればいいものではないな、と思って最近はイスラム関連の本を読んでいます。講談社学術文庫は新書よりも詳しく、専門書よりも分かりやすいポジションだと思っているのは勘違いなのか、本書は「宗教のオブジェクト化」などとJavaぽいことを言い出すので油断ならない。イスラム教を実地で学んだ泰斗によるイスラームの思考体系は、俯瞰よりは少々専門的過ぎてついていけなくなるところもあるので、別の入門書で知識を蓄えてから手を出すべきかも。2018/01/25
うぉーかー
5
イスラーム的。イスラームを世界の中で見つめ直す、絶対的な見方ではなく相対的に解いていく、だからイスラームが他の宗教とどう違っているのかを表したタイトルのイスラーム的。聖典の特徴や、原理主義者と呼ばれている人の見方など改めて世間一般とどう違っているのか理解できました。2015/10/09
影実
4
積読本。主にイスラームに関する基本的な概念や事柄、用語の解説と、イスラーム復興やイスラーム主義についての論考をまとめている。9.11アメリカ同時多発テロ以前の本だが(2000年に刊行、2015年に復刊文庫化)、一口にイスラームと言っても様々な立場、多様な考え方があること、「原理主義的」なイスラーム復興の動きが伝統回帰ではなく、主に世俗主義的な高等教育を受けた人々に担われているといった指摘など、今でも十分に示唆に富んだ内容だと思う。自身の基礎知識不足で理解に手間取る部分もあったが、大変勉強になった。2022/06/03
Hayek
2
★★★☆☆日本では人間の都合によって、神々のあり方が規定される。家の先祖は氏神となり、また成仏して仏様になる。ユダヤ教はヘブライ語、イスラム教はアラビア語。キリスト教は神・キリスト・聖霊を同一視する三位一体説が正当教義。カアバ神殿。近代的人類学は、近代西欧社会が文明を代表することを前提とし、非西欧地域に住む諸民族は未開人で西欧社会の発展諸段階のいずれかに位置し、いつの日か自分達と同じ文化を身につけると説明。2016/07/18
Go Extreme
1
世界宗教または普遍宗教 特定の民族地域に限定されず 世界各地に分布 セム的一神教の伝統 礼拝対象はアッラー 唯一無二の存在 世界を創造した唯一の超越者 啓示の言葉をクルアーンとして伝えた 神からのお告げを預かる人物 その実在を固く信じている六つのもの 信仰の根幹をなすもの 神の言葉を純粋に記録 既存の新約旧約聖書の権威を認めない 神の言葉の完成形はクルアーン 五つの義務 ヒジュラ暦 年によって異なる断食の期間 経済的身体的に能力のあるムスリム 一生に一度は行うことが義務 国境を越えたムスリムの連帯を意識2025/04/25