内容説明
貧乏のひもじさもわびしさも蹴散らす林芙美子の生の文学!
物故作家の名作を現代に通じるテーマでくくり、再編成するシリーズの第一弾。 自らの貧乏生活を題材にした小説『放浪記』でベストセラー作家となった林芙美子の名作選。「貧乏」をテーマに、初期作品「風琴と魚の町」「清貧の書」「耳輪のついた馬」、山田五十鈴、三船敏郎主演の映画『下町』の原作、などを収録。「貧乏とは何か」を問う。
行商人の子として九州各地を転々としてきた著者が、母と養父とともに広島県の尾道に辿りつき、そこで暮らし始めたときの体験を綴った処女短編「風琴と魚の町」をはじめとする初期短編五編、戦後の代表作「晩菊」、戦争にうちのめされた市井の人々の姿を描いた短編四編、ベストセラー『放浪記』の原型ともいわれる詩十編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字スキー
11
明治生まれの作家、林芙美子さんの『放浪記』はいつか読んでみたいと思っていたので、その前にちょいと短編集でも試してみよう……などと軽い気持ちで読み始めたら想像以上に容赦なくヘビィだった。初期作には極貧生活の中にもある種の清々しさが感じられなくもないが、戦後の混乱期を生き抜くというか死に損なったという方が似つかわしいようなこんちくしょうぶりに圧倒され、とにかく読んでいて疲れた。2016/10/23
スイ
6
林芙美子、初読みだったんだけど、こんなに面白いの?! びっくりした。 前半の暴力的なくらい生々しい文章も、後半の整った物語もどちらも揺さぶられる。 一つ一つの言葉選びも凄まじい。 様々な作品が収められているので、入口としてとても良かった。 ただ、作品集のタイトルには違和感を覚える…。 作品の中で書かれているのは「神様コンチクショウ」で、このタイトルの言葉はないはず(収録作以外で言っているのかも知れないけど…少し調べた限りでは見当たらなかった)。 インパクトあるタイトルで惹きつけたいのもわかるのだけど、2018/09/25