集英社文庫<br> 明日 一九四五年八月八日・長崎

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集英社文庫
明日 一九四五年八月八日・長崎

  • 著者名:井上光晴【著】
  • 価格 ¥407(本体¥370)
  • 集英社(2015/07発売)
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  • ISBN:9784087491203

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内容説明

原爆投下の前日八月八日、長崎の街にはいま現在そこに住む人々と、おなじ人間の暮らしがあった。結婚式を挙げた新郎新婦、刑務所に収監された夫に接見する妻、難産の末に子供を産む妊婦……。愛し傷つき勇気を奮い起こし、悲喜こもごも生きる人々を突然に襲う運命の「明日」。人間の存在意義を問い、核の脅威と向き合う「今日」を鮮烈に描き出す。昭和文学の金字塔。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

134
昭和20年8月8日の長崎。米軍による原爆投下の前日。長崎の町には戦時下の市民の日常があった。恐らく登場人物にはそれぞれモデルとなる、実在の人物が居たと思われる。そして彼らの殆んどは8月9日の原爆投下で亡くなったのだろう。8月8日。結婚式を挙げて、これからの未来を語り合う若い夫婦。市電の運転手である夫に停留所まで弁当を届けようとする妻。難産の末に、原爆投下の朝に男の子を出産した若い母。彼ら一般市民を無差別に大量に虐殺した米軍の原爆投下は明らかな国際法違反である。静かなやり場の無い怒りがこみ上げる作品。2015/07/23

新地学@児童書病発動中

133
原爆が投下される1日前の長崎を描く長編小説。戦時中とはいえ原爆が投下される前は、普通の人々が普通に生活していた。今の私たちと同じように、喜び、怒り、悲しみ、愛し合う人々が住んでいたのだ。そういった人々を描き出す作者の筆からは、深い悲しみと怒りが滲み出ているように感じた。圧巻は最後の0の章で、陣痛に苦しみながら新たな命を生み出そうとする女性が描かれている。人の命はこれほどまでに重たく、尊いものなのに一発の原子爆弾がその命を踏みにじってしまうかもしれないのだ。この章は作者が全身全霊で書いたのではないかと思う。2015/08/04

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

106
1945年8月8日、長崎への原爆投下を明日に控えた日。戦時中とはいえ、いつもと変わらない生活を送る長崎の人々。ささやかなながらも婚礼の日を迎えた若い二人、祝福する人々。明日がどんな日になるかとも知らずに……。最終章の扉「0」という数字が悲しい。広島、長崎への原爆投下の日を正しく言える人の割合が半分以下になったと聞く。戦後70年を迎えた今、改めて一読する価値がある作品でした。(難点は、こんげんこつ書いて良かかわからんばってん、書いてある長崎弁がようわからんと。)★★★+2015/08/07

Willie the Wildcat

76
戦時下の”ある”一日。当たり前の日々の営み、冠婚葬祭。一方、運命を示唆するかのような「赤い月」。そして、運命を委ねた公判延期と出産。最後の件に悲惨な末路が脳裏を過ぎるも、無論否定したい気持ちとなる。過酷な環境下、他者を思う心が保たれる平静。故の『良人』。どうにも”オムレツ”が印象に残る。憧れ、夢、そして希望の象徴。1日1日を精一杯過ごし、振り返り、そして感謝。派手な演出も無く、淡々と語られる日常を描写。但し、運命の日の前日。故に何かと考えさせられる読後・・・。2017/02/22

里季

73
2年も積んだままになっていた。8月の間には読みきってしまおうと思っていた。長崎の原爆投下の前日の、そこに暮らす庶民の様子を淡々と綴ったもの。なんの作為もない人々の暮らし。結婚式をあげた夫婦、刑務所に収監された夫に接見する妻、難産の末に男の子を産む妊婦。それらの人々に次の日は残酷にも迫り来る。産声をあげたばかりの男の子の生死は?やはり読んでよかった。夏によんでよかった。2017/09/01

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