内容説明
五十年前に突然姿を消した恋人を探してほしい。末期ガンの母・美月からそう懇願された。将来を誓いあった東北大生だったという。東京で恋に破れ、故郷函館でひっそり暮らしていた李恵は母の願いに応え、男の行方を捜し始める。史上最大級の海難事故・洞爺丸遭難が、人びとの運命に打ち込んだ楔(くさび)とは。現代と過去、母娘の恋が交錯する。『海猫』『余命』を越えた、恋愛小説の最高峰。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょん
59
母美月の最期の日々を共に過ごすことにした李恵は母が若い頃好きだった人を探すことに。なぜ大橋は突然失踪したのか。50年という長い年月、一人の男に想いを寄せ続け探してほしいという美月の気持ちと精一杯応えようとする李恵、2人の強い気持ちに惹き込まれる。洞爺丸の海難事故と失踪した大橋と美月。大橋さん、なぜあの時行ってしまったの…ただただ切なく哀しい恋物語だった。2021/07/12
Yuna Ioki☆
52
953-156-35 谷村志穂氏らしい淡々とした語り口のしなやかに生きる女達をモチーフにした一作。昔の恋の真相を追い求める母と過去の恋を振り切り新たな人生を模索しようともがく娘。どちらの気持ちもなかなかスッパリと思いきれるものではない。2015/04/29
はる
44
末期ガンの母から、五十年前に突然姿を消した恋人を探してほしいと頼まれる女性。果たして見つけることができるのか・・・。病んでいく母親との関係が私自身に重なる部分が多くて読んでいて切ない。微妙な距離感がやけにリアルだった。主人公にいまいち好感がもてない(特に男の趣味)けれど、自分だって似たようなものかもしれない。そう、私だって母親のことはなにも分かっていないに違いない。2015/04/27
りょうこ
39
『海猫』以来の谷村さん。海猫ほどの衝撃はなかったが、函館を舞台に突然いなくなった母親の昔の恋人を探しながら自分も何かを探す描写が綺麗。今年の夏は函館に行く予定なので、行く前に読み終える事が出来てよかった!2015/04/25
June
38
末期癌の母の住む函館へ娘は戻る。弱っていく母に遠い恋の思い出を語られ、昔突然消えたその人に会いたいという想いに捜し当てたいと願う娘、二人の残り少ない日々が描かれている。母は死を目前に静かに過ごしながらも、内には熱いものを秘めている。友人の消息が分かり訪ねた仙台で去来する思い。父との結婚生活を幸せだったという一方で、ずっとひとりの男を忘れられなかった母。人の感情の複雑さと母に寄り添おうとする娘の気持ちにジンとした。函館の街に漂う郷愁と無数の暖かな灯びが、大切な思い出をいつまでも守ってくれる、そんな気がした。2018/03/05
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