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内容説明
心が生涯求めつづける究極の存在とは? 「他者」なき現代人を襲う病理とは? 他者との関係性のなかで「自己」の構造をとらえなおしたコフート。フロイトの精神分析をぬりかえ、90年代アメリカで隆盛を誇る理論でよみとく現代日本の病理。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かがみ
2
コフート理論は自己愛パーソナリテイ障害の治療論からスタートし、最終的には精神分析全領域を改訂する「自己心理学」として結実した。本書は1999年の刊行だが、現代は本書刊行時点以上に自己心理学化した社会と言える。コフートは「罪責人間から悲劇人間へ」というポストモダン的な人間観の前提として、健全な自己は自己対象への成熟した依存の上に成り立つものであるという。こういった「依存や甘えは悪いことではない」というコフートの視点は「生きづらさ」への良き処方箋となりえよう。2018/10/11
タラ
1
コフートのちょいちょい見せるやさしさが好き。何か、こう、自分を削りながら集大成を目指す姿勢とか。「ミスターZの分析」はいつか必ず読みたい。2016/03/02
たかみ
0
共感の科学。卒論あるのにコフートにはまりそう。2014/11/16
seek
0
教育職に携わる人間として、成人期に発症することが多いパーソナリティ障害について知ることは有益だった。この本の主題ではないものの、境界例が神経症と精神病のボーダーという意味であることも知らなかった。人間という架け橋を信じて生み出された共感という手法を自らの実践でも生かしたい。家族機能<理想の極><野心の極>は理解が難しかったので、今後の宿題にする。2013/07/28
いとー
0
フロイトは自己愛→対象愛への発達過程を示し、コフートは自己愛の質の変化を重視した。同著の入門書的な新書よりも数段難解。コフート理論と現代の病理をつなぐ論調がわかりやすくて良い。2011/12/17