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内容説明
「東」のキリスト教――その深い智慧への誘い。カトリックともプロテスタントとも異なる「もう一つのキリスト教」。東西教会分裂の原因となった「フィリオクェ」問題、アトス山などの修道生活で発展した独自の瞑想技法、華麗にして深遠なるイコンの世界など、「東」のキリスト教思想の奥義に迫る。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
28
カラマゾフ再読しようと思いたち、その前にキリスト教を理解しようと。新約聖書を読み始めたが、待てよ、ロシアってロシア正教じゃん。ってことで東方正教のギリシャ正教を読んでみた。もともとキリスト教は詳しく知らなかったので、新鮮に驚く。最初のローマ帝国の話は入りにくい。新約聖書はパウロがトルコ、ギリシャと伝え周り、その言葉はギリシャ語で書かれた様だ。ということで聖書はギリシャ語が元。それが西方カトリックに伝道して行き、やがてラテン語となる。その時に三位一体の表現の場所にflioqueという単語が追加されてしまった2015/09/02
杞人
4
西方教会ではパウロ的贖罪論、つまりアダムとエバの原罪を贖う犠牲としてキリストの死を受け取るが、東方教会ではキリストの受肉と死を、堕落の後も人間の内に眠っていた神の似姿たる胚芽を高揚させるべく、人間存在の限界である誕生と死を神自身が引き受けることだとする。キリスト教に親しみを持ちつつも、一人の東洋人として、その性悪説的人間観にどうにも馴染めないものを感じていたが、まさかキリスト教自体にこのような豊かな可能性が内包されていようとは。己の不明を恥じつつも、何とも言えないある種の感動に浸るのみである。2012/02/23
Koning
3
カトリック信者に寄る東方正教会研究。東西分裂の切っ掛けともなった「フィリオクェ」とヘシュカズムという2つを中心に正教会信仰をあえて「頭」で伝えることに徹したという。ヘシュカズムではそれだけではない腹の底からの何かに突き動かされ書いたということだが真摯に伝えようと言うのが伝わって来る。正教会の中の人の書いた本と違って西方教会しか知らないと言って良い日本で正教会を理解する為には良いアプローチだと思う。三位一体と至聖三者という用語の違いにとどまらない理解の違い等例示してくれているおかげで腑に落ちた所も。2012/03/13
xin
2
西方キリスト教のあらましは大体理解してるつもりだけど正教ってどうなの?という人間には格好の教義・歴史の入門書。著者がカトリックの人間であると自覚的に書いているだけに、正教とカトリックの違い・共通性が浮き彫りにされているのもよい。2016/11/16
Ryusuke Minato
2
高校がカトリックだったとか、三浦綾子さんの本を多く読んでいたこともあって、興味はあっても馴染みは薄かった、ギリシア正教。「大シスマ」の原因だったり、マリア強さであったり、興味深い内容が多かったですが、一番興味深かったのは、「ギリシア正教」における「冥府への降下」の重要視です。「原罪の贖いとしてのキリストの死」という、西方の見方との対比・・・同じところから出発しても、こうも違ってくるものか、というのが、率直な感想です。2012/03/28