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内容説明
小さな紙片に蔵された、広大なる精神宇宙。なぜ天照大神に誓いを立ててはならないのか。神と仏はどちらが上位か。本地垂迹の本質とは何か。中世日本の巨大なコスモロジーは、一片の起請文の中にある。神仏習合から新仏教まで、中世人の豊饒なる精神世界の全貌に迫る。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Defricheur
5
「起請文」という中世日本の文書を丹念に読み解き,「広大なる精神宇宙」を提示するという壮大な試み。その帰結として提示されるコスモロジーの豊さのみならず,分析のプロセス自体から滲み出る,論者の思想研究に対するチャレンジング・スピリットに心打たれる。起請文から見える精神世界というテーマを通じて,人文学の本質的な面白さをプレゼンすることに成功した一冊。2020/07/23
きさらぎ
5
起請文とは「以下の内容に決して間違いはありません。偽りであったら、○○神××仏の罰を受けても異存はありません」という誓文のこと。厳粛な形式の割には「お酒を1杯でやめなかったら神罰を受けても異存有りません」とか「「これが仮病だったら(以下略)」とか何というかユルイ誓文もあって面白い。本書は文中の神仏の順番を通して中世人にとっての神仏の序列を、取捨選択を通して神仏の意味付けを問う。起請文に顕れる=中世人にとっての本地垂迹思想と結論づけ、更にそれを克服する思想として鎌倉新仏教を取り上げる。非常に刺激的で面白い。2017/02/08
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
3
なんというか、中世人のコスモロジーというものを考えたら、浄土思想と本覚思想は、たしかに現世と他界の距離の捉え方としては、もちろん相違があるけれど、本覚思想を、現世の一切を宗教化する神秘主義と捉えたら、どちらに近づけるかという支点の問題で、神秘主義的な世界観だとか、仏の世界を真実世界と捉える点など、両者はかなり近い、というのは、なるほどな、と思わせる一冊。神と仏の関係(本地垂迹)に関しても、中世人のコスモロジーという概念でうまく説明できるという点も、なるほどな、と再び頷く一冊。2020/01/04
maqiso
2
中世の僧侶・貴族・庶民らが神仏に誓った起請文には、当時の宇宙観が表れている。この世に影響を及ぼすものは、インドの神々、道教由来の神や閻魔、日本の神・仏像・聖人という序列があり、日本の神・仏像・聖人はいずれも仏の垂迹とされた。古代の荒ぶる神や疫病は中世になると祀られる場所を得て賞罰を与える神となった。鎌倉新仏教は阿弥陀仏に直接往生を願うべきと主張し、本地垂迹によって支えられた社会と対立した。後半は起請文からは見えない話も多いが。2021/11/13
非実在の構想
2
起請文により、仏の垂迹としての神・人・仏像に満たされた中世の世界観を復原する。またその世界観の上に専修念仏をおいて、その意味を考察。念仏に対して抱いていた不信がやわらぎ、思想は文脈から切り離してはならないと再確認した。2018/09/19
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