江戸の市場経済 歴史制度分析からみた株仲間

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江戸の市場経済 歴史制度分析からみた株仲間

  • 著者名:岡崎哲二【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2015/07発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062581554

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内容説明

最先進国イギリスに匹敵する経済成長をとげた「江戸日本」。巨大市場の成立は、安定政権、貨幣制度の整備、農商工分離だけでは説明できない。〈株仲間〉こそが、全国市場の形成・発展の立役者だった。歴史制度分析という最新の方法を駆使し、株仲間のポジティブな役割に光をあてる。(講談社選書メチエ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

26
江戸時代の株仲間(同業組合)の市場への影響、幕府の命令で停止された期間に市場に出た影響を経済学者の著者が分析した一冊。同業組合と聞くと既得権益を守る組織のようなイメージがあるが、同業組合は組まれることで取引に秩序が出来、物価の安定にも貢献していた。ただ当時はそうした分析ができなかったこともあり、水野忠邦による天保の改革では物価高騰の原因として株仲間を停止することになった。しかし、株仲間はモニタリング(債権者の監視、情報共有)機能、取引秩序の維持機能もあったので経済を混乱させることになった。2023/07/08

maqiso

5
中世の座は戦国大名に解体されたが、江戸時代には同業者が協力する株仲間が生じ、幕府も財政のために仲間を公認した。幕府の裁判機関は契約関係の訴訟を軽視し、奉行所の処理能力がパンクすると相対済令を出して訴訟を受理しなくなった。株仲間は信頼できない取引相手の情報を共有し、仲間全員で取引を禁止することでコミットメント問題を解決した。天保の改革時で株仲間が停止され、素人の参入によって売買や流通が混乱したことがわかる。2022/02/14

Hiroyuki Maegawa

3
公権力による所有権と契約履行の保証がない江戸時代に、幕府の営業許可にあたる「株」を持つ商人たちの「多角的懲罰戦略」が市場経済の発展を促したという本。やや古い(初版1999年)が、知的好奇心をくすぐる本でした。ユダヤ商人が在外代理人を雇う際に同じ戦略を用いたことを示した米スタンフォード大のグライフの研究などを参照し、江戸期の米価や推計経済成長率で論証。天保改革の株仲間禁止による経済低迷をこの仮説の「テスト」としたことも説得的で、1790年以降、年0.7%の経済成長をした江戸経済にも驚いた。2014/12/02

さくらみかげ

3
度々の飢饉などに見舞われながらも、江戸時代中期にはなだらかな経済成長が見られたことが、当時の貨幣残高の推移などのデータによって示されている。しかし、法による契約履行が希薄化していたこの時代に(相対済令など)、いかにして市場取引が正常化されていたか。筆者は、株仲間制度が法の私的所有権保護機能を負っていたという。地中海貿易におけるマグリブ商人の多角的懲罰戦略を引き合いとして、計量経済学の見地から精密な分析が示されている。法の射程外でどのように利益が防衛されていたのかという議論が、法学部生には新鮮に感じられた。2011/02/12

紙魚

3
江戸時代にどうしてゆるやかながらも経済成長が続いたか。その要因の一つとして株仲間がはたした役割を計量的に述べている。経済理論の説明から始まるが、やや難しい印象。天保の改革時の株仲間解散から逆に役割が浮き彫りになるというのが面白かった。全国経済を平均化し、安定と成長に資していた株仲間から、今の流通の役割も考えてみたい。2009/08/23

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