内容説明
大晦日までの僅かな期間、日没とともに開き、日の出とともに閉まる、謎に包まれた市「細蟹の市」。手に入らないものはないといわれ、人々の欲望と幻想が妖しく交差する――。たった一人の市守り・サザによって守られ、永遠に続くと思われていたこの異形の市だったが、ある人物の来訪によって少しずつ破滅へと向かい始める……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
70
どんなものでも手に入る細蟹の市シリーズ第3弾、最終話。市の謎とその崩壊を描く。魑魅魍魎が渦巻く世界、その殺伐とした中でうごめく異形な者たち。幻想的でありながら、後半怒濤の展開が…。次々と殺され、その戦闘シーンも凄まじくグロテスク。どこまでが夢でどこから現実か区別がつかなくなる。カンナとまこと、ずっとお互いに求めあっていた、それだけで幸せ。この摩訶不思議な世界に、もう少し浸っていたい…2018/02/19
ゆかーん
50
永遠の命を得たい…。細蟹の市に行けばその願いが叶えられるという噂を聞き、謎の赤髪の男は現れた。そしてこの願いがきっかけとなって、この細蟹の市は崩れ始める…。不老不死と言われていた織女が死んでしまったことで、この世界は崩壊へ向かい始めたのだ。サザの捜査によれば、織女はとっくの昔に終わりを告げており、赤腹衆のサザの存在も意味を無くしているということ…。この島全てがおかしな方向へ進み始めている。この世界は現実なのか、それとも夢なのか…!終わることのない殺し合いの果てに得るものは、彼女の体温と静寂のみだった…。2015/08/23
ポラリス
29
幻惑ミステリ三部作の完結巻。前巻から目に見える形で歪み軋み崩壊し始めた細蟹の市がついに終焉へと向かう。最終巻は今まで以上に不気味で混沌としていて全体を哀しさが覆っている様に感じました。メリバ的終わり方ですが、個人的には作品の持つ雰囲気や物悲しさにとても合っていると思います。夜宵→宵鳴→鳴夜とタイトルの漢字が巡るのも美しい。妖しく哀しく最初から最後まで魅力された『細蟹の市』三部作、とても大切な作品になりました。2017/09/01
辛口カレーうどん
19
あー、こんな結末なんて…と思うものの、この結末以外はなかった。たとえ夢であっても、二人でずっと寄り添っていられますように。市は終わっても、夜宵さんは死ねない。メトメもきっとまだ…2015/05/22
のぼる
17
シリーズ完結の3作品め。前作読了から一月ちょいだったが、早くも忘れている(それも大事なこと)ことがあり、若干ついていけずで、勿体無かった。しかし、シリーズを通じて、独特の雰囲気を楽しむことができた。またいつか間をあけずに読むかも。2016/04/24