内容説明
二年連続で真打ちトライアルに失敗し、絶望と空回りの日々が続いていた。――そんなある日、師匠の志らくがぼそっと話しはじめた。立川流孫弟子として初の真打ちに昇進した立川志ら乃。家元立川談志による二ツ目昇進試験に合格し、NHK新人演芸大賞を受賞。「これで売れる」と思ったが……。うまくいかない現実から目を背けるように「まだ本気じゃないけど、いつか本気を出したらオレは凄いんだ」という逃げ口上で自己肯定し、「うじうじ」と思い悩んできた著者が真打ちにたどり着くまでの落語家人生を綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roku7777
4
実は明治の落研なんで自分の直の後輩なんです(知らないけどね)。いや志らくがほんと優しいいい師匠なんだってこれ読むと思っちゃう。いつも弟子のこと考えている師匠なんだなぁ。立川流って談春や志の輔がいるけどやっぱり談志イズムは志らくなんだろうなぁとしみじみ。はい、志ら乃の口座を見たくなったよ。うん、コロナが落ち着いたら行ってみよう。2021/08/30
kokada_jnet
4
談志の孫弟子(志らくの弟子)の2冊目の著書。「絶対的な強度」を求めて立川流に入ったのに、「要領のよさ(のみ)で、うまく適応していく自分」に対して、感じる自己嫌悪。この構図は、結構、普遍的なものだと思う。たとえば、水道橋博士とかが、似たタイプ。2013/11/06
kera1019
3
志ら乃さん、真面目ですね。師匠の志らくさんからの期待を考えると仕方ないですが、自分を見つめ直して努力する姿は痛々しさも… 落語家さんにとって苦悩との向き合い方は其々やと思うけど、志ら乃さんの真面目というのも立派な落語家魂やと思う。2014/02/18
うらん
2
噺家さんは文を書かせても面白いな。つぶやきがそのまま本にまとまっているから、背景を知らない人にはわかりにくい部分もあったけど、今度高座を聞いてみようと思う。2013/07/19
6だ
1
先年死去した立川談志その孫弟子初の真打が、落語に縁の薄かった学生時代から今までを振り返る内容。生前の談志や師匠志らくとの逸話を中心に著者の「うじうじ」っぷりを曝け出している。文章も書き慣れている感じで読み易く判り易い。 著者についてはコミケ参加や声優・アイドルに落語を教えたという事で名前を聞いていたものの、実際にその噺を聴いたのは最近のラジオ出演数席。なのでその時の良い印象(古典落語等の基礎をキチンと踏まえた若いに似合わず落ち着いた芸風)が強かったが、立川流に鍛えられてのものだったという事がよく判った。2013/12/06