内容説明
巷に「お大師さん」として愛されている弘法大師・空海は平安初期の大思想家であり、日本文化に深く溶け込むその存在は密教の奥義を究め、聖なるエネルギーを広く行き渡らせるものであった。本書では、その思想と行動における二極を「情報」と「癒し」の二つの視点から取り上げている。「情報」とは、七から八世紀のアジアは国際化の時代であり、その代表的国際人、文化人として空海が東寺を中心に発信し続けたことを意味する。「癒し」とは、高野山での修禅、入定に関する空海の考えや、仏教の智恵、単に治すとか治療するだけではなく、より前向きに積極的に生きる「仏の救い」である。山林修行し、命がけの入唐、恵果阿闍梨との師弟関係、ライバル・最澄との交流と決別……。数々の伝記資料を用いながら、聖と俗の両界を自由に往来した空海の実像に迫りつつ、単なる「知識」ではなく、身体で覚える「智恵」とは何か――空海の思想と行動を通して、現代人に「さとり」の意味を問いかける。高野山・開創千二百年を迎え、人間空海の実像に迫った本格的評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sofia
31
読みやすい『眠れないほど面白い空海の生涯』を先に読んでいたので、流れはわかった。難しいところは読み抜かす術も使う。「情報」と「癒し」ー。東寺は密教「情報」発信の場であり、高野山は即身成仏と「癒し」の寺ということ。驚いたのは20年の留学を義務付けられたのを無理に2年で帰国していなかったら…次回の遣唐使は空海逝去3年後で、歴史に残らなかったかもしれないということ。2023/05/07
Porco
2
空海の生涯を書いているのですが、どうも要領を得ない。もっとよく整理したほうがいいと思いました。2015/04/09
pulapula60
1
真言宗を開いた空海の生涯を史料に基づき自説を交え検証している。史料・経典名にヨミをふっていても一般人には馴染みが薄いけれども、空海の著作から若い頃に現世利益をもたらすのは道教でも儒教でもなく、仏教であり、役人ではなく僧侶の道を選んだことがうかがわれる。世の中を解説しているだけでなく、変革する実践が必要だとして、身分を問わない私学校の綜芸種智院の創設、ため池の万濃池修復難工事の完遂と、結実していく。2022/05/09
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