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内容説明
日本の山岳界でひんぱんに使われる「近代登山」という言葉。「近代登山の父とされるW・ウェストンから、日本の登山は始まった」という風潮に異を唱える山岳ジャーナリストの著者が、人類の出現以来繰り返されてきた登山と山岳の歴史を、地元目線で掘り起こした意欲作。演出された「山」の虚像を崩しながら、信州では常に身近にあった「山」と、その山岳観をつづる。【内容】第1章 信州教育の傑作、学校登山/第2章 山街道・乗越・湯道/第3章 開山伝承 未開の二題/「山」の虚像を演出した2人/第5章 山の実業家/第6章 山の既得権、入会と水利/第7章 山人評伝/第8章 山学彩々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
14
信州の学校登山発祥地は伊那谷と大町周辺(15頁)。そこに木曽駒ヶ岳や燕岳があるから? そこに北アルプスがあるからだろうか。三澤勝衛のように、能勢栄(1852~92)は、身近な事物現象の実験、観察を通じて、自然の理法を学ぶ理科教育を推進したという(24頁)。自然に学べ、実践的に学べ、現場主義ということか。大町西高、神坂中、深志高の生徒らが滑落や落雷で亡くなっている学校登山(28頁~)。小島烏水(1873~1948)が出てくる。日本考古学の父、ウィリアム・ガウランド(112頁)。 2014/10/16
roatsu
9
登山史においていかに根拠なき通説等が幅を利かせているかを知り、安易な思い込みを戒められた。日本人一般にありがち(と個人的に思う)な権威に弱く、安直なキーワードや声高なだけの主張に雰囲気でひきずられて同調し、たちまち知った風な口をきき始めるという特徴が山岳史の分野でも発揮されているのだろうか。メディアや口伝で定説化されていることも丹念に史実史料を検証すれば全く違う実相が明らかになるのは登山史に限らない。信州教育の特色たる学校登山の歩みや、山人評伝、入会権問題など読み応えある逸話が多く勉強になる一冊。2015/10/07
yoneyama
1
学校登山の歴史、播隆上人の登山、修験道などについて、ようやく興味深く読む歳になった。信州の事情が、よくまとめられている。文明開化、近代アルピニズムということばはそれ以前を蒙昧な時代と考えたかった明治思想だったのかもしれない。宗教的であるということを、何か異様なものとしか考えない発想は、現代日本特有の思潮かもしれない。古代以来長期間、信仰は空気のようなものであった。2018/11/17
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