内容説明
竜造寺隆信は、柳川城主蒲池民部大輔を宴に招き、討ち取ろうと企てる。使者は西岡美濃。美濃は竜造寺家切っての正直者として名高い。彼が「身の危険などなし」と告げ、相手を信用させるわけである。果たして美濃の一世一代のウソは通じるだろうか? 竜造寺家、鍋島家にかかわる悲劇の数々を、練達の筆致で描いた歴史小説集。
感想・レビュー
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フーミン
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戦国・江戸時代の殺伐とした世の中で、人を信じること、愛すること、信念を貫くことの素晴らしさを語った作品集でした。敗戦で暗い時代の日本人に、本作品を通して作者がエールを送っていたのかなと思いました。2013/06/26
JET5
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☆☆2012/08/08
renren
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作者得意の竜造寺・鍋島もの短編集。登場人物が多い上みんな親族や主筋の一字をもらってたりあっさり改名したり,正直人間関係を把握するだけで一苦労,ただ一旦把握すると時代の流れが連作で見えてきて面白い(他著書も含め)。「謀殺」がよかった。はかりごとが,祈りが,「はかない女のみえ」で粉々になるという酷さ。人間の世界ってそんなものだけど,それで命のやり取りをしなきゃいけなかった時代は酷い。2010/07/06