内容説明
そのコトバは、どこまでも自由に舞っていた
鉄と戯れ、ゲージツする日々。殴られ続けた父親の死。蜂に刺され鹿が迷いこむ山の生活。生と死を見つめる眼差しが優しい私的短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
143
糸井重里秘本として話題になったということで、手にとる。瞬く間に引き込まれる。鉄のゲージツ家、クマさんの自分史を基に書かれた名作。クマさんの人生そのものが小説なんだなぁ。こんな生き方は出来ないが、憧れる。2016/02/06
はたっぴ
81
鉄のゲージツ家、クマさんこと篠原勝之さんの自伝的小説。TVでの語り口に温もりを感じる人であることと、「糸井重里秘本」として取り扱われたことを知り手に取った。世にも恐ろしい父親に育てられた「オレ」は、父親を殺すことより逃げることを選んで上京する。その生きざまは鉄のオブジェとなり人々を魅了している。生活スタイルも個性的で、見た目とは違う繊細さを持ち合わせ、言葉だけではなく体ごと向き合うのだ。数多の悲しく辛い出来事が「オレ」を通り抜けて柔らかに陽転していく。心にグッとくる感覚は久しぶりだった。オススメの一冊。2016/03/15
milk tea
57
篠原勝之さんとクマさんが結びつくまで、ちょっと間があった。テレビで見るクマさんとあまりにも印象が違ったから。幸せとは遠くかけ離れたような半生だったように感じたが、居場所を求めるにはこのような選択しか無かったのかもと思うとなんとも言えない気持ちになった。お元気ですか?今も作品作られてますか?2017/03/10
メタボン
41
☆☆☆☆ ジフテリアで嗅覚のないオレ、おっかない父、苦労の末認知症になった母、ヤクザものの弟、長野山中の鉄工生活、愛猫との日々。じんわりと人生について考えさせる自伝的短編集。なかなかありそうでない作風に感じた。2019/02/03
アナクマ
39
「アンタは泣き虫だから、悲しくなったら手を動かすんだよ」母の送り言葉から、内職、メリヤス編み、編み棒、ゴミ収集箱、虫食い孔、庭のダリヤ像へと続く数行の流れに象徴されるような、人生断片圧縮語りに目を見張る。◉技巧があるとも感じさせない「掘り出したばかりの馬鈴薯ゴロン」系の短編集。自伝はこうでないと。傷口もカサブタもそのままに、投げつけるように書き連ねるも、そのくせ行間に吹きこむ乾いた風、射す春の陽。そこがいい。◉人生、救いは何処かにはある。手の届くそこらへんに転がってるそれ、それがそうかも知れない。2020/02/20
-
- 電子書籍
- 白聖女と黒牧師(8) ミニカラー画集付…
-
- 電子書籍
- 神に愛された花嫁~宿命に抗う二人~ 辰…
-
- 電子書籍
- ドンネルの男・北里柴三郎【合本版】
-
- 電子書籍
- 餓狼伝 22 少年チャンピオン・コミッ…
-
- 電子書籍
- 妹さえいればいい。2 ガガガ文庫