内容説明
マックス・ウェーバーに政治学はあるのか、という素朴な批判に抗して著者は、その政治学がそれぞれの国の歴史的・地政学的諸条件にもとづく「公共善」の追求という観点から独自の政治学が存在し、それは西欧政治学の伝統に立脚するとともに現代政治学にも重要な視角を提供すると主張する。第二帝制期からワイマール期へかけてのドイツ政治に深くコミットしたウェーバーの現実的で柔軟な政治思想にあらためて光をあてた力作。
目次
序 ウェーバーに政治学はあるか
一 ウェーバーにおける「政治的科学」への自意識
二 ウェーバーの「政治的科学」を現代にも通用する政治学として読む条件
三 本書の構成
第一部 ウェーバーの政治論説をどう読むか
一 ウェーバーにおける政治の枢要な位置
二 W・J・モムゼンのウェーバー批判
三 ウェーバーのライヒ大統領制論にたいするモムゼンの批判とその問題性
四 ワイマール末期の大統領政府体制をどう見るか
結語
第二部 公共善追求の営為としての政治――ウェーバー的視点からの政治の原理的考察
第一章 政治の基礎概念
第二章 国家の概念
第三章 政治への基礎視点
第四章 法治国家的構成原理
第五章 民主制
第六章 議会と政府
第三部 ウェーバーの政治ゲマインシャフト論――ウェーバー国家論の基底