内容説明
日本には無戸籍の人々が推定1万人以上もいる。民法772条が主な原因となって生まれる無戸籍児は基本的な権利を剥奪され、大きな社会問題と化している。前夫からのDVにより離婚できない母親、両親の貧困による戸籍未取得児、パスポートも運転免許も取れない、医療保険もない彼らの悲しい現状をつまびらかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつこんぐ
33
図書館本。戸籍のない人=不法滞在者かネグレクトなどで届出が出されてない人というイメージでしたが、普通の人でも子供に戸籍を作ってあげられないことがあるんだと驚きました。市議会議員でも市民のためを思って働いてくれている人はほんのひと握りでしょうから、国会議員なんて金のことで頭がいっぱいの頭でっかちばかりで国民の話なんて聞く気もないでしょうね。DVする男の名字名乗りたいと思う子がいるわけないだろ。せめて子供単独で戸籍が作れるように法改正してほしいものです。2019/03/28
リキヨシオ
26
戸籍のない日本人が実在している事が分からなく、偏見を持ちがちになり無戸籍状態について理解する機会もない。日本では出生届が出されない戸籍のない子どもが毎年500人程生まれてるという。前夫のDVやストーカー行為から逃がれたものの前夫に所在を知られるという恐怖から、子供の出生届を出せないケースが多い。民法772条の「離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供と推定する」の離婚後300日問題。時代と共に家族の在り方は変化しているが戸籍制度自体は明治時代から変わらない…。政治家が動かないとどうしようもない問題。2015/06/28
ゆう。
21
日本の家族主義的民法(772条)により、日本国籍がないままに、社会の中で孤立し排除されている人たちに焦点をあてたルポです。日本の戸籍は個人主義ではなく、家族主義です。これは明確に憲法に違反すると僕は思います。また、DVや虐待などで社会的に支えていく必要がある人たちに対して、国籍を奪う形で人生を奪う国の制度はやはりおかしいです。住民票もなく、パスポートや免許証もなく、国籍がないために当たり前に生活することができない現実。この現実は変えていくために政治的にも取り上げなければならない問題だと思いました。2015/08/17
まる
7
「無戸籍」という言葉自体、知ったのはごく最近だ。新聞の記事で読んだ。しかし、どんなことなのか詳しく知りたくて本を読もうと思っても、そもそもこの問題を扱っている本が極めて少なかった。そんな時に出会ったのがこの1冊。無戸籍状態にある人々の例や、現在までの動きが書かれている。自分がそうでなく周りにもなかなかいない、という問題に思いを巡らせることはきっかけがあっても正直難しい。しかし、その向こう側に想像力をめぐらせることがいかに大切か、改めて思い知らされた。もっと勉強して実態を知りたいと思った。2015/05/24
ぽけっとももんが
6
数年前、無戸籍児を主人公にしたドラマがあった。主題歌聴きたさに毎週見たけど、ドラマそのものはさほど出来のいいものではなかったと思う。パスポートが取れず、将来の夢を断熱せざるを得なくなる主人公の事情に、どうにかならないものかとやきもきさせられた。海外へ行けないという不便さのみならず、自分の存在を認められない辛さが根本にあるのだ。まず法律かと思ったが、複雑な問題もあるようで。きっかけはドラマでもニュースでも、とにかくこういう問題が多分思っているより身近にあることを、多くの人が知ることが大切なのだろう。2015/08/15