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内容説明
かつてマルクスは、一つの世代を丸ごとかかえ込むほどのブームを巻き起こした。しかし、その後は過去の遺物と化し、社会主義国家もすでにほぼ崩壊している。だが今、資本主義もまた行き詰まりを迎え、日本でも格差が拡大し、社会のなかに自分を位置づけて生きがいを感じることが、難しくなってきている。マルクスが仕掛けた謎を考える意味は、むしろ高まってきているのだ。時代の熱狂を体験した作家が、現代日本の再生に向けて、マルクスの謎を読み解く。
目次
まえがき 大貧民の逆襲が始まる
序章 なぜマルクスなのか(マルクスは魅力的?
マルクスはイワシの頭?
マルクスは大貧民の味方?
マルクス主義はまちがっていた?)
第1章 マルクスの時代背景(マルクスってどんな人?
マルクスの思想って何?
マルクス主義は科学的か?
貧富の格差はどこから生じたか?
人間にとって自由って何?
大貧民はいかにして救われるか)
第2章 日本のマルクス主義(日本共産党って何?
過激派はどこから来たか?
若者はなぜ過激になるのか?
大学は何のためにあるの?
マルクスは殺人を容認する?
赤軍派はなぜ一線を越えたのか?)
第3章 マルクスは敗北したのか(挫折感って何?
もう一つの社会主義?
日本はマルクス主義国家?
日本的高度経済成長の秘密?
いまや日本は大貧民国家?
会社はコミュニティー?)
終章 マルクスの逆襲(マルクスの夢の再現?
これからの日本をどうする?
無国籍資本が世界を崩壊させる?
いまこそマルクスの出番?)
あとがき 世界恐慌の果てに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
54
ソビエト共産主義が崩壊し時代錯誤と言われてしまいそうなマルクスだが、「マルクス」と聞いただけで直ちに否定するものであってはいけないと思う。食べず嫌いでなく、ひと齧りしてみる勇気も必要不可欠であろう。労働力も商品の一つであると見抜いたマルクスさん。被雇用者に焦点を当て、増加し続ける失業者、将来に不安を残す非正規雇用の問題、給料が徐々に減少する現状等の雇用環境の悪化が取りだたされ、更のジニ係数から浮かび上がる格差拡大の時勢にあって、暮らし難い現代社会を生き抜く為のヒントが一つ二つ書き残されているかもしれない。2010/06/10
よし
11
現代日本の混迷する経済と希望のなさに、マルクスの仕掛けた「謎」とは?「マルクスの理想とは、社会における貧富の解消と生きがいを感じさせる社会システムの実現。」キーワードを上げていくと、「今なぜ、マルクスなのか?」が多少なりとも理解できる。「疎外・自己疎外」・・「正・反→合・・弁証法」「疎外のない社会・・コミュニティの崩壊」「商品としての労働」など。。また、戦後50年史も鋭い。学生紛争の時代、60年アンポ・70年代挫折世代、ふるさと「むら」から、企業「むら」へ。年功序列・終身雇用制の挫折。。・・。2015/11/02
かさねパパ
8
マルクスの経済論というよりは、マルクス主義の歴史~これからについての三田さんの考察のような感じです。先の二人に比べればとても読みやすく、理解しやすい文章で、やはり作家は違うなあ~と思いました。ちょうど一世代上の時代のことが書かれており、懐かしさ~共感をもって読めました。私達も同級生同士で、体制~反体制について議論しましたし、マルクスをけなすと~ノンポリと言われて、最後は喧嘩になった記憶があります。三里塚にも行っていた奴もいたなあ~、その当時はとてもマルクス主義は容認できませんでしたが、今は少し違う~(続く2015/11/27
おらひらお
8
2009年初版。マルクス関係の概説に自分の生きてきた時代を合わせたような一冊です。結論的に農業共同体に行きついていますが、それらを崩壊させつつある原因の一つは団塊の世代が作ったような気もしますが・・・。ただ、現段階が資本主義の終焉的形態であることはすこし共感しました。2013/03/26
73番目の密室
7
マルクス主義の沿革を解説し、20世紀におけるその隆盛と衰退の経緯を綴る。三田誠広の初期作品には学生運動の影が色濃く揺蕩っており、著者自身の若き日を総括する1冊とも言える。60~70年代の学生運動の状況やセクトが分裂していった過程などが要領よく記されており、『僕って何』の時代背景がよくわかった。”戦後日本は実質社会主義国家だった”という言説には目から鱗。現状の打開策として国民の良識に訴えかける案しか出せないのがこの人の限界だとは思うが、無秩序な競争社会に何らかの歯止めを設けるべきという点には同意したい。2015/02/14
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