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内容説明
空間政治学の鮮やかな達成
明治時代にできた皇居前広場は天皇、左翼勢力、占領軍によって、それぞれの目的のために使われた。定点観測で見えてくる日本の近代。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
21
世界最大と言われる天安門より広い広場がありながら、公共の広場と利用されることがなく(かつては利用されたようだが)市民の目から隠すように存在するのが皇居前広場だという。それは東京の観光案内にも載ってなく、近年は天皇を中心とした行事だけのために存在する空っぽの広場だという(バルト『表徴の帝国』)。その皇居前広場の使われ方の歴史を紐解いた書で面白かった。明治天皇は京都御所に愛着があり見向きもしなかった。大正天皇も他の避暑地で過ごすことが多かったが積極的に観覧を行ったのが昭和天皇だという。2023/10/09
sasha
10
中国の天安門広場より広い皇居前広場。明治から平成まで、東京のど真ん中に広がる空間がどのように変遷したかの定点観測だ。本論とは少々離れるが明治天皇はやっぱり東京を「帝都」とは認めたくなかったのか。京都へお帰りになりかたっかのかもな。天皇制の儀礼空間となったのは昭和前半。白馬「白雪」に跨った昭和天皇が二重橋(鉄橋の方)にお姿を見せたら、そりゃ国民は歓呼の声でお迎えしたであろう。「血のメーデー」事件の記述は警察側の資料と目撃者であった作家・梅崎春生の書き残したものの相違が興味深かった。2018/04/23
このちー
0
皇居前広場の「定点観測」を通じて、天皇と国民のコミュニケーションの歴史をたどる好著。欲を言えば、公共広場における市民同士の対話の可能性についてももっと言及して欲しかったかな(本題からは逸れるのだろうけど)。2015/01/19