内容説明
引退後ほどなく、政治の「貧困」を憂いつつ未来への希望をこめて綴ったエッセイ集「大磯随想」。その最晩年に、マッカーサーやアデナウアー、ケネディら内外の政治家を回想し、日本外交について縦横に語った「世界と日本」。保守政治のエッセンスを余すことなく語った二篇。 〈解説〉井上寿一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
29
前者は巻末に英語も付いている。オムニバス的な英訳で、全訳ではなさそうだ(279頁に収録箇所)。マッカーサー元帥は皇室の存在に期待し、新憲法で皇室制度の維持を求め、それに配意と好意を示したようである(144頁)。吉田茂は憲法9条について、日本が真の平和国家として信用されることを狙いとしたのであろうことを疑わない、と記している(145頁)。麻生太郎氏は、衆院通過の際、満面の笑みであったが、このじいさんの記録を何だっと思っているのか? 2015/08/02
ジョニジョニ
7
日本を軍隊のない国にしてくれたひと…と思ってたけど、引退後の63年に口述したこの回想録で、あれは復興のためであって、今は他国の力に頼らざるべきではないか…という発言があって意外だった。当時はベトナム戦争中で、キューバ危機直後でもあって、無理もないと想像する。警察の力も強めるべきだとも言っている。今の政治家も、現内閣に孫がいるくらいだし、未だにこの人の影響下にある気がする。個人的には、日本は軍隊の持てない国であり続けてほしい。2020/06/11
大森黃馨
5
この吉田茂氏と例えば佐藤優氏等との著述の調子の違いが気になる単に大衆に訴え話しかけて刹那に理解を求めようとする政治家と知識を解説啓蒙しようとする学者の違いといえばそれまでだが前者は後者よりも話しかけている以外やそれ以上の知識教養を求めているよってその言葉に感激して終わりではいけない後者は知識を学び啓蒙されるもの前者は私というものが改めて問われているそれが演説というものなのかもしれない 2023/01/23