内容説明
覆面作家として発表した幻の小説を初電子化。
<ぼくは今、学説を覆すに足る新事実を発見しようとしています。村人は語りませんが、蝦夷からアイヌ民族の出現に至るまでの空白期間を埋める幻の狩猟民族の末裔が、暗火岳に生きているのです。その所在を確かめるために明日暗火岳に向かうつもりです>
友人の私にこのような葉書を送って北海道・知床半島で消息を絶った鴫沢澄夫。大学で考古学を専攻する私は、彼が主宰する北方の狩猟文化をテーマとした研究会にも顔を出していた。姿を消した鴫沢を追って、私は彼に心を寄せていた女性、奈美とともに、北海道に渡る前に出かけていたという新潟の山村へと旅立つ。その地は研究会にも参加していた考古学の権威、環教授がかつて調査に赴いた場所であり、そこで私は鴫沢と環教授の不思議な連関に気づくのだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころころむし
2
昨年『カノン』、そして今年『ドラゴン・オプション』を読み、1986年に刊行された『未だ王化に染はず』の文庫化に出会い、スケールが大きすぎて私なんかの手に負えないのかと不安になった。一冊にするのはもったいないほどの濃厚さだが決して難しいから読むのをやめてしまおうとは思わなかった。むしろ山に登るように一歩一歩前へ進むような読書だった。2015/06/13
K子
1
★3。北海道出身作家。本名でのデビュー作『北帰行』が名作すぎて期待値が大きくなり過ぎたか。エンタメ、あるいは純文学としても、小説としての面白さがもう少しでした。考古学ネタも本格的な超大作ではあるのですが。冒頭がやや退屈で入り込みにくかった。また、途中の主人公の行動で、犬のくだりと、古本屋でパクるところが理解できなかった。あと、女性キャラがややワンパターンかなと思ってしまいました。2016/09/22
satooko
0
品切れになっていて図書館で借りる。カノンよりずっと以前の作品。またガラッと違うテーマ。2022/03/04