内容説明
東京湾に浮かぶ瀬切島にある山城工科大学。「知は金なり」をスローガンに、図抜けた学力と高額の入学金を求められるエリート大学だ。入学しただけで学生たちには未来が約束される。その学内で、自殺した学生の遺体が消失するという奇妙な事件が起きた。何の変哲もない学生の自殺のはずだったのだが――。警視庁捜査二課の堅田雅司と日比野遙が、一筋縄ではいかない事件に挑む！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
62
ソクラテスの言葉を思い出した。「無知は罪なり、知は空虚なり、英知を持つ者は英雄なり」。そして「知は力なり」と言ったベーコンもまた同じ道理を説いている。さて、「知は金なり」を校訓としたYIT（山城工科大学）はどうだろう。島に設立され、世界最高レベルの研究水準も持つ私立学校。そしてもう一つ、二次試験では寄付した金額によって入学が決まるという特徴を持つ。超エリート、又は金持ちにしか通えない大学。そこで多発する謎の自殺の真相、隠された大学の暗部。刑事、学生そして職員、敵か味方か？嘘と秘密に塗れたYITに挑む一冊。2023/01/02
ナミのママ
34
東京湾に浮かぶ孤島の島にある山城工科大学。「知は金なり」がスローガンのエリート大学。2020年、その学内で自殺者の遺体が消失する事件が発生する。孤島の塔が内包する闇。…面白かったです。終盤まで全く犯人がわからず、トリックも想像できませんでした。そして、こんな大学があるわけないと思いつつ、頭の中にできあがっていく学内の様子。個性ある登場人物。おじさんと若い女性刑事のコンビもなんだかとてもユニークでした。内容はなかなかシリアスですが、一気読みでした。2014/07/07
momi
26
サスペンスミステリー！東京湾に浮かぶ孤島の私立大学。受験偏差値は７０以上と高く、二次試験で支払った寄付金の額によって入学が決る。校訓は「知は金なり！」この大学は「知」を「金」に変える術を学ぶところ…。ある日、このエリート大学で学生が飛び降り自殺をする…。そして遺体が消失する事件が！誰が、何のために、どうやって！！学内の闇と大学側の大きな力、警察とのやりとりをワクワクしながら読み進めていきました。警察コンビのキャラもよく、もっとかたい作品を想像していたのですが、スラスラと読めて、まあまあ面白かった作品です！2014/11/24
yumiDON
22
孤島にあるエリート学校、そこで起きた自殺。しかし、その後遺体が消えてしまう。警視庁の堅田と日比野は「知は金なり」と唱える山城工科大学へと向かう。二人の捜査パートと交互に挟まれる、自殺者斎藤の視点で語られる学生達の過去のパート。個人的には、警察パートより学生達の方が断然面白い。キャラも良いし、サスペンスもありよかった。ミステリーというよりもジュブナイルとしての良作といったところだ。2015/03/13
Koto
19
東京湾の孤島にある山城工科大学、通称YIT。「知は金なり」のスローガンの元、集うエリート達。誰もが羨む未来を保証されていながら後を絶たない自殺者。消えた遺体をきっかけに捜査にやってきた刑事二人が見たものは大学に潜む底知れぬ闇。な、なんて恐ろしい学校なの… 誰もが探り探りで静かに繰り広げられる知能戦。話題になってないのが不思議なくらい面白かった。将来的にYITのような学校ができても不思議じゃない気がする。その時、知はどうあっても利用されてしまうのだろうか。2014/10/15
