光文社文庫<br> 幸せスイッチ

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光文社文庫
幸せスイッチ

  • 著者名:小林泰三
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 光文社(2015/06発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334768683

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内容説明

両親が急死し、多額の遺産を相続した少女が恋をした。初めての恋が、彼女から財産も将来への希望も、何もかもを根こそぎ奪ってゆく。絶望の末に少女が出会った、すべての苦痛から解放してくれる「幸せスイッチ」とは?(表題作) 一刻を争う病状の幼女を搬送する救急隊員に、母親が無理難題を押しつけて翻弄する「診断」。鬼才が仕掛ける、邪悪で奇妙な6つの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

63
表題作は世間知らずな女の子がどん底まで堕ちる物語なので本当に救われない。絶対、ヒロシが出てくるまでの暴漢はサクラだろ!ヒロシよ、地獄に堕ちろ!「勝ち組人生」の自分を損ねてまでお金と春子への蔑みに執着する姿が分からないし、「診断」は子供を考えない春子とそれに振り回され、従うしかない救急隊員に唖然。また、行きつく先は洗脳でも『ミッドサマー』は共感の暴力を用いるのに対し、「どっちが大事」は極端な二項対立と従わない意見の強烈な否定を用いているので胸が悪くなります。2020/07/26

みくろ

45
6編の不穏な短編集。最初からやばい雰囲気むんむんだが、読めば読むほどその世界観に翻弄される。この短編集を一言で表すなら"噛み合わない"。読者が思っている常識、登場人物たちの会話…全てが噛み合わず、それがかなり不気味。特に「どっちが大事」「診断」「哲学的ゾンビもしくはある青年の物語」はやばい。ほぼ会話文なので、小説よりは舞台やドラマCD向けかもしれないが、台詞のやりとりが想像の遥か上をいくので怖い。個人的にはこういう短編集も悪趣味娯楽ホラーとして有りかなと思うが、普通の小説を求めてる方にはおすすめしない。2015/08/14

うまる

34
6人の春子を巡る6話の短編集。中4話が、固定観念を揺さぶる奇妙な話で面白かったです。屁理屈禅問答のような、不条理な会話が楽しいのと同時に、理詰めが全く通じない人の怖さを感じました。"幸せ"に限らず、人がどう思ってるかなんて他人が評価する事じゃないと思うので、勝手に人を勝ち負けカテゴライズする人には「勝ち組人生」を読ませたいです。『セピア色~』を超える衝撃はなかったですが、今作も独特の切り口を堪能させていただきました。幸せスイッチONになりました。2020/08/03

なっち

33
アンソロジー以外できちんとこの方の本を1冊読むのは初めてでしたが、あまりにもすごい不条理な世界にぶっ飛びました。特に『診断』が、最高にイライラしました。頭がおかしくなりそうなほどに。『勝ち組み人生』が想像力をかきたてられて面白かったです。(面白いなんて書いちゃダメですね)三崎亜紀さんの『バスジャック』っぽいかな?と思ってましたが、それより何倍もシュールでブラックで会話が噛み合わなくて、こういうの嫌いじゃないです!2017/01/17

うさみみ

28
「怨霊」というホラーに見せかけて実は笑える一編をのぞいて、あとは論理や合理の埒外に足を踏み外した人間が狂っていく短編集。きつい猟奇表現は殆どなく、メルヘン殺しシリーズのような論理的にこじれた会話が多い。こういうのが好きな私にはとても嬉しい。医学、脳科学、宗教、物理など作者の広い知識領域から次々現れる話題も良い。安心して読めるかと思いきや 「哲学的ゾンビもしくはある青年の物語」には本気でゾッとした。非合理性や非論理性に基づく他者との絶対的断絶、あるいは自己そのものを揺るがす崩壊。共通する恐怖の最大級を見た。2019/03/01

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