内容説明
米・サクラメントに生まれ、「日本は戦争に負ける。でも、俺は日本の後輩のために死ぬんだ」と言い残して死んだ松藤少尉。生前の松藤を知る一人ひとりを訪ね歩き、その生涯に迫った感動の歴史ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
masa
30
何ともやりきれない思いで読了した。日系2世としてアメリカに生まれ、憧れた日本との架け橋にならんと外交官を志した若者が特攻隊員となり沖縄の海に散った史実。両親の住む敵国艦隊に突撃する不条理を胸に封じ込め、ただ自らの命を将来の日本のために捧げた純粋な青年の姿に涙なくして読めなかった。戦後70年目の今年中に読むことが出来て良かった。152042015/12/28
James Hayashi
26
アメリカ生まれの日系二世。1945.4.6 零戦の沖縄特攻にて死す。松藤大治23歳。剣道好きであり、自分を主人公とした私小説も書かれている。剣道の剣豪であり、学の方でも現一橋大へ合格。松藤は自ら選択し学徒出陣の道を選ぶ。米国に残した家族は強制収容所に入れられていることも作用したか?学徒出陣は兵力不足のため文系の20歳以上の学生を徴兵。当時の大学進学率は0.4%と優秀な青年が兵隊にとられ無残な死を迎えたことは残念でならない。2016/12/03
takam
11
門田さんはこの本を書いたのち、坂井徳章氏という祖国を二つ持つ人物を描くことになるが、本作の主人公である松藤大治氏も同様に日本とアメリカに祖国を持つ人物である。排日の空気が吹き荒れるアメリカであっても、その空気に屈することなくアメリカでも抜きんでた存在であったにも関わらず日本に渡り、一橋大学で外交官の夢を持ちながらも特攻で亡くなられた。そもそも徴兵を断ろうと思えば断れたにも関わらず、断らずにもう一つの祖国アメリカへの特攻攻撃とは運命は悲しい。誰よりも日本男子であろうとした彼の姿勢が忘れ去られないことを望む。2020/05/02
もちお
5
あの戦争で亡くなった優秀な人材がもし生きていたら… どんな世の中になったのかな。そんなことばかり考えてしまった。だんだん読むのが辛くなって、なかなか読み進められなかった。2022/02/20
廊下とんび
5
日系2世の特攻隊員、とてもその気持ちを推し量ることが出来ないくらい切なく、哀しい。 この人は本当に文句のつけようのない(ナイスガイ)なのでなおさら哀しくなる。 先の戦争でどれだけの数の優秀で人間的にすぐれた人材が日米双方で失われたことだろうか。 確か日系2世が日本軍に従軍した時点で米国籍を剥奪されるような話を聞いたことがある。 この本の中で戦時アメリカ国籍のまま徴兵されず特高から一度呼び出されただけで 終戦まで無事に日本で過ごした日系2世の話があり、驚いた2020/08/13
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