- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
ヒトラーは、どのようにして大衆の支持を得て独裁者となったのか。安楽死殺害やホロコーストはいかにして行われたのか。その歴史を知るための入門書であり、決定版の書。ナチ体制は、単なる暴力的な専制統治ではなく、多くの国民を受益者・担い手とする「合意独裁」をめざした。最新研究をふまえて、未曾有の悪夢の時代を描く。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
87
アドルフ・ヒトラーが政権の座にあった1933年から45年までの12年間、ナチ・ドイツがどのように築かれ、ホロコーストを引き起こしたのか、ナチ時代を検証した本。ナチ独裁の特質である非常事態とプロパガンダ、少数派の排除、警察権力の拡大の「ナチ体制」と、極端なレイシズム(人種主義)と優勢思想・反ユダヤ主義による「ホロコースト」を考察している。なかでも面白かったのは、ナチ体制がヒトラーの単頭支配(モノクラシー)ではなく、ヒトラーのもとで互いに競合し、「何よりもヒトラーから評価され、信頼を得ることを切望していた」多2020/04/01
HANA
72
ヒトラーやナチスを通史として捉えた本は数多い。本書もまたそれらの歴史を記した一冊。数多いというが本によってそれぞれ重点を置く部分が違うため、違う本を読む度に発見があるのだけど。本書の重点を置いている部分はナチス政権がどのようにして成立したのか。と安楽死とホロコーストは何故起きたのか。ではないかと思う。それぞれが一大テーマでそれに関する本は何冊も出版されているが、こういう通史の中で見てみると門外漢にもわかりやすいなあ。本書では「ジャングル」と表現されているが、ナチスの行き当たりばったりが印象に残る本でした。2024/06/16
十川×三(とがわばつぞう)
61
良書。ヒトラーと、WWⅠからWWⅡ終戦までのドイツ。▼民主主義国家が大きく道を踏み外していく過程、ホロコーストを行なった側の観点、独裁者ヒトラーとは、が知ることができる。▼ナチ党はちゃんと選挙で選ばれている。第一党になってから暴走が始まる。「総統」を創設。▼独国民はユダヤ人「追放」は支持したが「虐殺」は支持していない。2023/07/15
だんたろう
57
まず、今日1月27日はアウシュビッツ強制収容所が開放された日だそうだ。本書はヒトラーが政治家を目指してから自死するまでが詳しく記されており、専門家から強く薦められているものである。ドイツ国民はヒトラーに騙されたと目にすることがあるが、本書を読むと国民がヒトラーを後押しした感もある。WWI後の賠償金負担や世界恐慌が重くのしかかり、その打開のみを国民は求めていた。それ故に熱狂を生み、間違った方向に全体で進んでしまった。経済が人間を狂わすのは現在も同じで、75年経った今も進歩していない人類に恐怖を感じる。2020/01/27
TS10
56
ナチス・ドイツの概説書。前半ではヒトラーの首相就任への軌跡を、後半ではそれ以降の内政、外政、ホロコーストについてを叙述する。ミュンヘン蜂起失敗後、機会主義的主張を繰り返しつつ台頭したヒトラーは、ヒンデンブルクら保守派の打算の結果、首相に就任することとなるも、あまりに敏速に議会政治を解体し、独裁者へと上り詰める。ヒトラーはあくまで反ユダヤ主義的妄想に基づいて、ヴァイマル共和政の打倒を試み、戦争を一貫して追求した革命家だったのである。2023/12/06