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内容説明
ヒトラーは、どのようにして大衆の支持を得て独裁者となったのか。安楽死殺害やホロコーストはいかにして行われたのか。その歴史を知るための入門書であり、決定版の書。ナチ体制は、単なる暴力的な専制統治ではなく、多くの国民を受益者・担い手とする「合意独裁」をめざした。最新研究をふまえて、未曾有の悪夢の時代を描く。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
87
アドルフ・ヒトラーが政権の座にあった1933年から45年までの12年間、ナチ・ドイツがどのように築かれ、ホロコーストを引き起こしたのか、ナチ時代を検証した本。ナチ独裁の特質である非常事態とプロパガンダ、少数派の排除、警察権力の拡大の「ナチ体制」と、極端なレイシズム(人種主義)と優勢思想・反ユダヤ主義による「ホロコースト」を考察している。なかでも面白かったのは、ナチ体制がヒトラーの単頭支配(モノクラシー)ではなく、ヒトラーのもとで互いに競合し、「何よりもヒトラーから評価され、信頼を得ることを切望していた」多2020/04/01
だんたろう
57
まず、今日1月27日はアウシュビッツ強制収容所が開放された日だそうだ。本書はヒトラーが政治家を目指してから自死するまでが詳しく記されており、専門家から強く薦められているものである。ドイツ国民はヒトラーに騙されたと目にすることがあるが、本書を読むと国民がヒトラーを後押しした感もある。WWI後の賠償金負担や世界恐慌が重くのしかかり、その打開のみを国民は求めていた。それ故に熱狂を生み、間違った方向に全体で進んでしまった。経済が人間を狂わすのは現在も同じで、75年経った今も進歩していない人類に恐怖を感じる。2020/01/27
十川×三(とがわばつぞう)
54
良書。ヒトラーと、WWⅠからWWⅡ終戦までのドイツ。▼民主主義国家が大きく道を踏み外していく過程、ホロコーストを行なった側の観点、独裁者ヒトラーとは、が知ることができる。▼ナチ党はちゃんと選挙で選ばれている。第一党になってから暴走が始まる。「総統」を創設。▼独国民はユダヤ人「追放」は支持したが「虐殺」は支持していない。2023/07/15
Nobuko Hashimoto
50
今学期、本を読む演習では、手始めにスナイダーの『暴政』を精読している。現代の私たちが、歴史に学ぶべきこと、暴政を見過ごさないための心構えが書かれた本で、ナチ時代のドイツの事例がよく引かれているので、本書を復習。細部を確認するのにうってつけ。なぜ文明国ドイツにヒトラーの独裁政権が誕生したのか、「ヒトラーだっていいこともした」という言説は本当かといった疑問に、ていねいに、かつわかりやすく答えてくれる。結構な分量だが、非常に読みやすく、ナチ時代のドイツをさらうのに良い。2021/10/11
さゆ
49
ナチ党が野党代1党でないのにヒトラーが首相になれたのは、君主制を望む大統領と反ユダヤ、反民主主義で一致したためだと言うことには驚いた。また、ナチ党のやってたことは人権や自由意思を無視した、徹底的な思想的、経済的な合理化であり、それは一時的に効果をあげたが長く続くわけもないことを歴史が証明したといえるだろう。2023/11/28