内容説明
時は、明治元年暮。火の手の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人たち──博奕打ちの信州無宿繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」との言葉を胸に、自由の身となった三人の向う先には……。幕末から明治へ、激動の時代をいかに生きるかを描いた、傑作時代長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
141
またしても浅田次郎氏の得意技が炸裂。心根に気高さを持ちながら貧賤な者と貶まれる人間の一分を立てることにおいて、浅田氏ほどの手練れは滅多にいない。主人公たちに見得を切らせる場面はまさに鳥肌もの。良き小説にござった。2015/11/07
ehirano1
127
流石浅田次郎!と改めて思いました。『囚人のジレンマ』を囚人にホントに課したという洒落の利いた前提で物語が進んでいくのですが、内容は良い意味で洒落どころではないですよ。単なる人間模様ではなく、強烈過ぎる時代の転換期を生き、良くも悪くも自分自身の人生を生きた5人の話が描かれていました。2022/11/03
sin
96
まるで実況中継のように大火の際の解き放ちの成り行きを語る同心を導入に…世の下衆な男たちの要らぬちょっかいに勘を立てつつ己れの生き様を振り返りながらいま在る地位のありがたみを精一杯に伝法な言葉でぶつける曾ての夜鷹の元締め、義理と人情で己れを律して理不尽な判決にも潔さを保ち続けた曾ての任侠、最期の戦に死にそびれ時代に取り残されて散り際を求め続けた曾ての旗本の次男坊、いずれも時代の狭間で無法な沙汰を背負わされた咎人が、不浄役人とされながらも幕府と共に歩んできた牢役人の最期の矜持に触れてその人生を変える。2017/03/20
Shinji Hyodo
81
『火事と喧嘩は江戸の華』幕末から明治に移った年の瀬に伝馬町牢屋敷に迫り来る火の手。『赤猫』とはちろちろと燃え盛る炎を指し示すが、牢屋敷においては火の手の迫った牢内の囚人を一時的に解き放つ際の符丁とされていた。あり得ない裁きにより打ち首寸前の博奕打ちの繁松。江戸三美女の一人と謳われた、夜鷹の元締 白魚のお仙。官軍兵士を八人も斬り倒して縛に着いた旗本の七之丞。この三人を解き放ち鎮火の後に必ずや戻って来いと送り出す役人の丸山小兵衛…役者は揃った。戻らねば死罪…もとより戻る道理の無い三人が後に語る物語やいかに2015/09/14
たいぱぱ
72
ヤラれた!泣きの次郎がここにもあった!「赤猫」とは、火事による火の手が迫った牢屋敷の囚人たちを焼き殺すのは不憫だと解き放つこと。超傑作「壬生義士伝」方式で明治元年の赤猫の顚末を、親分の罪を被った博徒の繁松、旗本の倅で官軍を辻斬りした岩瀬七之丞、夜鷹の総元締にて江戸に名の轟く美人・白魚のお仙ら元囚人達より聞き出す。漢を描かせたら浅田次郎より右に出る者はいないだろう。本作の漢はエンパシーを持つ。これぞ本物の漢だ!「お頼み申す」に涙が止まらん。どうしたらこんな伏線、物語を産み出せるのだろう?浅田次郎、天晴れ!2024/02/19
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