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内容説明
森はいかにして海を豊かにするのか。昔から、魚介類を増やすには水辺の森林を守ることが大切とされ、こうした森は「魚つき林」と呼ばれた。森の栄養が海の生き物を育てているのだ。現在、漁師たちが山の木を育てる「漁民の森」運動が全国で進められている。その科学的根拠ともなった「陸と海を結ぶ生態系」を解き明かす。(ブルーバックス・2010年2月刊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふぇるけん
16
20代のころ、北海道日本海側の積丹や奥尻などの海に潜ったとき、やけに岩が白くて海も透明だな、と思ったことがある。それは「磯焼け」と呼ばれ石灰藻が岩を多いワカメや昆布などの海藻が枯死した状態らしい。この磯焼けが起こる原因は、鉄分と腐植物質が不足していることであることを著者は突き止めた。後半の腐植物質は陸の森から運ばれるものであり、森林を豊にすることがそのまま海を豊かにすることにつながることを認識できた。海の砂漠化を防ぎ「魚つき林」を再生することが日本の漁業を救うことにつながる。2017/04/20
gotomegu
12
スペクタイターのオススメ本。5章の森と海の関連は、わかりやすかった。ダムや砂防ダムは、砂を止めてしまうことで、河口まで届くはずの砂がとどまってしまうので、砂浜が形成されずに波に削られてしまう。三面護岸の川は、ただ排水を捨てて流すだけの水路となってしまう。スイスでやっている近自然河川工事を日本ももっと取り入れてほしい。便利な暮らしはあきらめる・・というのは賛同できないけれど、折り合いをつける方法を探るべきだと思った。2020/11/15
なか
12
・p5 昔から漁民たちは、魚介類を増やすためには、湖岸、河畔、海岸の森林を守ることが大切なことをよく知っていた。それによって、木陰が形成され、水温の急激な上昇を防ぐとともに餌となる昆虫の落下を促すなど、物理的な好循環が生まれる。こうした森は「魚つき林」と呼ばれた。江戸時代には、魚つき林は「木一本首一つ」とまで言われ厳しく簡易rされていたところもあったほど重要視されていたが、現在ではそれを知っている人はほとんどいなくなってしまった。 2018/02/10
マネコ
9
「森は海の恋人」このキャッチコピーは幼いことから身近でしたがこの本を読んでその本質をしりました。自然活動は森→川→海と続いており、森が駄目になると海にも大きな影響があります。植林活動や間伐など森林保全を考えさせられる一冊でした。2019/03/09
🍭
8
生態学への関心が高まっているので目につく生態学本全部読む!トテモオモシロイ……2023/03/20