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内容説明
美術館建設の野望を抱いていたヒトラーが、各地で略奪した美術品60万点のうち、現在も未発見のナチス財宝は10万点を数える。今なおトレジャー・ハンターたちを惹きつけてやまない有名な「琥珀の間」など「消えた宝」のゆくえを追う、ベルリン特派員(執筆当時)の毎日新聞記者によるルポルタージュ。ナチスと東ドイツの「亡霊」が浮かび上がってくる、教科書や歴史書には載っていないドイツ史がここに――。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
23
宝探しものとして単純に面白い。徳川埋蔵金、武田信玄の埋蔵金のドイツ版。いかにもありそうな口伝付きのナチス再建のための秘匿財宝。月の裏側のナチス基地に通じるものがあるが、それほど荒唐無稽な話ではないことから政府やトレジャーハンターが挙って発掘にチャレンジする。たった70年前の出来事が伝説化してしまうという皮肉を感じる。2018/09/17
ようはん
19
終戦間際にナチスが各地に秘匿した財宝伝説というとロマンがあるように見える。とはいえナチスの占領地からの美術品収奪やユダヤ人虐殺の悪行に加担した軍人が財宝秘匿に携わった事、財宝探索を巡る東西陣営の渡り合いやナチス戦犯の逃亡に関わったという裏組織等、闇の深さの方が印象的である。2024/03/09
イノ
19
つい先日、ルーブル美術館展 京都で観たフェルメールの『天文学者』もナチスに押収されていた事に驚いた。ユダヤ人の虐殺に平行して進められた、財宝の略奪。ナチスの犯罪者集団のイメージがヒットラーの狂気の実感と共に強まった。ルポルタージュなだけに迫真に迫る証言が印象に残る。2015/09/06
くさてる
18
60万にも及ぶナチスが収奪した美術品。その多くがいまだ見つかっていない。歴史の闇のなかに消えたその財宝を探している様々な人々やその歴史が背負うものを、小説のような面白さで一気に読ませてくれる本でした。ナチスの財宝探しが一種の村興しになっていたり、徳川埋蔵金なみの伝説になっているあたりは面白いけれど、その成り立ちを思えば、単なる宝探しで終わるものではなく、そういう部分もちゃんと押さえている著者の筆致は誠実なものだと思えました。面白かったです。琥珀の間、すごいだろうなあ……。2018/04/14
hideo
14
フォーサイスのオデッサファイル思い出しました。1人の狂気が戦争を生む時代。どこかの国の法律も運用範囲を広げないように声をあげないといけない時代かもしれない。2015/07/18