仮想通貨―技術・法律・制度

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仮想通貨―技術・法律・制度

  • ISBN:9784492681381

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内容説明

金融とITを融合したFinTech(フィンテック)が、金融業界・IT業界で注目を集めています。FinTeckは伝統的な決済インフラストラクチャーを、未来の色で塗り替えようとするものです。
携帯電話で資金移動サービスが利用できるケニアのMペサや、スマートフォンに小型の装置をセットするだけでクレジットカードの支払端末に早変わりする米国のスクエアなど、金融分野へのITの応用は伝統的な決済インフラを未来の色で塗り替えるものです。
その中核をなすインフラストラクチャーが、ビットコインに代表される仮想通貨の技術です。
2014年に大騒ぎになったMt.GOX社の破綻を経て、日本では「仮想通貨(ビットコイン)はあてにならない、危険な貨幣であり技術である」と思い込まれて、一時燃え上がった投資熱も冷めてしまったようです。
そうした日本とは対照的に、米国のメガバンクは分散型仮想通貨の技術を銀行システムの改革に活用するための研究に取り組んでおり、欧州ではブロックチェインと呼ばれる仮想通貨を支える技術をシステムの基幹にとりこんだ銀行さえも登場している。銀行間の資金移動サービスを支えてきた重厚長大なインフラは、FinTechの発展によって生まれ変わろうとしています。
米国のアップルやグーグルは、相次いでスマートフォン向けの決済サービスを提案しており、伝統的な決済ビジネスは存続の岐路に立たされています。日本でも、無料通話アプリがいつのまにか資金移動サービスを開始するなど、次世代の決済サービスの主導権を握るのは、かつて誰もが予想しなかった業種であるのかもしれません。今や、決済ビジネスと電子商取引の主戦場はモバイルへと急速にシフトし、時代は大きな転換期を迎えているのです。
本書の目的は、仮想通貨の仕組みを理解し、利便性とリスクの両面を把握したうえで、ビジネスへの活用を検討することです。
仮想通貨に関する議論の中には、不正確な情報や誤解に基づく論評が見受けられるのも事実です。信頼の対象となる発行者が存在しない通貨を肯定することは、発行者の信頼を元に成立してきた社会にとって容易なことではありません。新しい概念を受容する過程においては、的確な批判とともにやや正確さを欠いた議論も起こりがちです。
仮想通貨の技術・法律・制度に関する考察は、ようやく緒に就いたところです。次世代の金融 仮想通貨を作り出すビジネスの現場において、意思決定を左右する大きな要素のひとつが仮想通貨であることを、欧米の金融機関・IT業界はすでに理解し投資を進めているという現実から目をそらすと、ITにつづき、FinTech分野でも日本が欧米や今後は中進国に対しても後塵を拝することになりかねない。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shomma

12
「技術的な仕組み」の部分は、同じ内容を繰り返し、徐々にディテールに入り込みながら説明がなされていた。しかし、浅くてもいいので数式を用いて説明してくれたほうが結局、わかりやすい気がする。面白かったのはむしろ後半、法的な枠組みや各国の対応についてまとめられた章だった。仮想通貨が通貨の定義そのものを問い直す視点になっている。個人的には、最後に書かれているように、仮想通貨(ブロックチェーン)の、経済を記述するツールとしての面にも興味がある。実証の難しい経済学が飛躍する原動力にならないだろうか。2017/03/10

とりもり

3
ビットコインをはじめとする仮想通貨に関して解説した日本語の本としては、おそらく最も詳しい一冊。但し、欧米の政府系機関や中央銀行のレポートなどを参照する部分が多く、ビジネス的な観点というよりも、どこまで規制するのか(特にマネーロンダリングの観点から)、そしてそれによって仮想通貨の特性が失われないかという議論が中心となっている印象。読み易さは野口本が圧倒的に上だが、より正確な知識を得たい場合には本書の方が良い。そんな使い分けが妥当かと。★★★★☆2016/01/08

くらふと

2
サブタイトルにもある通り技術だけでなく法律や社会制度の話まで解説されている。技術面ではビットコインの技術要素を一通り説明している。ネットの情報だとどうしても断片的になってしまいがちなので体系だてて学べるのは良いと思う。法律面での説明はちょっと眠かったかな。15年刊行なのでそれより前の論点が今の状況と照らし合わせてどうなのかと思った。シルクロード事件からMt.GOX事件まで仮想通貨絡みのさまざまな事件を扱っていて面白い。著者に法律家が入っているためこういう方面の内容も題材として扱えるんだろう。2018/01/06

DualBlueMoon

1
難しい。2016/06/04

0
技術面を期待したが、法体制の話がメインだった。 3人の著者の共著であるが、最初の技術面が門外漢にもわかるよう平易な表現に腐心しているにもかかわらず、続く法的定義の話では学術論文的な表現で固くなっているところは残念だった。しかし、要点はよくまとめられているため、論文の参考文献として重宝されそう。2017/10/22

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