内容説明
1686年秋、アムステルダム。18歳のネラは、裕福な商人ヨハンネス・ブラントの妻としてこの繁栄する都市へやってきた。新生活への期待に胸をふくらませつつも、待っていたのは、婚家の富に戸惑い、辛辣な年上の義妹マーリンに反発し、不在がちの夫に落胆する日々だった。しかし、夫からの結婚祝いである豪奢なドールハウスがそんな生活を変えた。なぜか新しい家族に生き写しの人形たちに導かれるようにして、屋敷が抱く秘密を知ったネラは、行く手にひそむ危険に気づくが…。黄金時代のオランダの光と影を描き上げ、刊行前から世界の出版界の話題を独占した驚異のデビュー作。全英図書賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
62
女として熟れる機を逸した結婚。スピリチュアルな結び付きで描かれる愛は、ミニチュアハウスを浄化装置にしカタルシスを流していく。性と肌色を白と黒で対比したオセロゲーム。それはミニチュア作家が書いた台本のように、人形たちが駒となって進む。舞台は17世紀のオランダ。実在の人物を主人公としている。各国で人気の賞を新人作家として多数受賞。ドラマ化が決定している。砂時計が静かに時を刻むような心理サスペンス。微弱な”心の動き“を見逃さない読書家向けです。2015/11/05
ゆかーん
58
表紙の絵を見ていると、とても硬派な純文学を思わせるのですが、中身は何ともスキャンダラス。顔を覆い隠したくなるような、昼ドラ的内容でした。1600年代の英国商人の家に嫁いできたネラ。幸せな家庭で、良妻賢母な生活を想像していたはずが、夫は出掛けてばかりで、義姉は暗く小言ばかり。ある日、夫からの結婚祝いに贈られたドールハウスが、彼女の生活に大きな変化をもたらします。人種差別、男尊女卑、性差別なと、この時代では、タブーとされたさまざま問題を鑑みると共に、ミニチュアに隠された謎を、ドキドキしながら解き明かしました。2016/03/13
りつこ
37
面白かった~。メロドラマ的な展開ではあるけれど、未来を予告するミニチュアのドールハウスというのが物語好きにはたまらない。久しぶりに、この先どうなるんだろう?!とページをめくる手を止められないワクワク感を味わった。無力だった主人公のネルがどんどんたくましくしたたかに成長していくのも良くて、冷静に考えるとかなり酷い話なんだけど、読後感は意外に清々しい。たのしかった!2015/07/17
MATHILDA&LEON
27
17世紀オランダ、富を手中に収めた貿易商の家に嫁いだネラ。住人たちがお互いを監視し合い、そればかりか家の人々も不可解な行動を取る。正直ものすごく不気味。不穏な空気を纏う街や人の姿が緊張感を増幅させるが、しかしそれに負けることなくネラが強く立ち向かう姿は美しく、これがたった18歳の娘の行動かと思うと、大人の私って情けないな…と思ってしまう。本作は家族愛の素晴らしさや生命というものの尊さも同時に描かれているので、読み方としては色々あるし楽しめるのでは。2015/11/06
星落秋風五丈原
27
秘密を抱えた家をネラが探っていく前半は彼女自身の幼さが解ってしまう読者にとってはかなりイライラする展開。それが作者の目論みであったとするなら成功であり後半のネラの目覚ましい活躍との対比にうまく効いている。タイトルにもなっているミニチュア作家の存在がうまく物語に嵌っていないようだ。なぜならばそれ以外は全て現実的な内容でおさえてきたのに、ミニチュア作家の部分だけ非現実を出してきているからだ。非現実的なものを出してくればもうそれで全て説明が出来てしまうので都合が良いのだが現実の枠の中で物語を纏めてほしかった。2015/09/11
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