岩波文庫<br> 牛乳屋テヴィエ

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岩波文庫
牛乳屋テヴィエ

  • ISBN:9784003277911

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内容説明

ユダヤの伝統と信仰を墨守してつましく暮らす牛乳屋のテヴィエ.だが彼の娘たちは旧弊な考え方の父に逆らい,異教徒や革命家の青年などと結婚し,次々と親元を離れてゆく.ユダヤ人集落(シュテートル)のしきたりを破って伝統の枠から飛び出してゆく娘たちの姿に民族離散(ディアスポラ)の主題を重ねた,イディッシュ文学の金字塔.『屋根の上のバイオリン弾き』の原作.

目次

目  次

 まことを受けるに足りぬ者

 大あたり

 あぶく

 いまどきの子ら

 ホドル

 ハヴァ

 テヴィエ、パレスチナへ向かう

 ヴァフラクラケス
   解説(西 成彦)
   注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

8
牛乳屋テヴィエの恐ろしいまでのテンポの良さ、これがこの作品の最大の特徴。ドイツらへんに住んでたユダヤ人が使っていた言葉がイディッシュ語で、彼らが東方(この作品ではウクライナ)に移住するにつれ、伝統を異様に強調しつつ、現地語との混交やらが起こったりで、マイナーな民族がもつ言語として生き残り続ける。そんな彼らが帝政ロシアから追われつつあるころの物語。マイノリティーとして生きる爺さんのあまりの闊達さが、散文的で馬鹿げた現実のなかで一際輝いている。『屋根の上のバイオリン弾き』の原作らしいが、そっちは見たことない。2012/09/23

壱萬参仟縁

7
2ページに右から左へ読むヘブライ語。英語史を想起。「あぶく」で、「銀はわたしのもの、金もわたしのもの」(傍点 86ページ)とあり、「お金なんて土くれみたいなものなんですよ! 肝腎なのはひとです。ひとはどこまでいっても、ひとです」(87ページ)。世は、コンクリートへ逆戻り。「いまどきの子ら」で、「手押し車を押していたからって、夢も希望もない貧乏暮らしで、どこへ行っても芽が出ない」(115ページ)。八方塞がり。「ホドル」で、「家庭教師なんて、なかなか割には合わない商売」(146ページ)。プロでないと食えんな。2013/01/30

Ernest

6
「ユダヤ教徒とはなんなのか、そしてユダヤ教徒じゃない人間とは?… ユダヤ教徒とそうじゃない人間をこしらえられたのが神様なら、それが一緒に生きていかれないのはどうしてなのか?お互いに見つめあってもいけないだなんて、あちらさんは神の被造物じゃないとでも言わんばかりじゃないか?… あたしは自分が書物に明るくないのが歯がゆくてしかたがありませんでした。こういうときにぴったりの文句を思いつけるひとがどこかにはいると思うと、自分が愚か者に思えて…… 」208-209 ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』の原作。2025/04/28

刳森伸一

6
牛乳屋を営む素朴で少し気取り屋だが情に厚いユダヤ人テヴィエを主人公とした連作短編集。古いユダヤ人の生活を守るテヴィエに対して、テヴィエの娘たちは時代に少なからず影響を受けた結婚をしていく。主に娘を介して降りかかる問題にテヴィエは古いユダヤの智恵で乗り切ろうとするが、常に中途半端に終わる。それは必ずしも不幸ではないが、どこか物悲しい。しかし、それでもユーモアと優しさを忘れずに真摯に生きるテヴィエに心打たれる。 2017/04/15

あくび虫

5
なじみのある時代でも文化でもありませんし、盛り上がる本でもありません。不思議なことに、それでも何かがまっすぐに伝わってきて、最後の一篇には唐突に胸がつまります。――ロシアという国時代も大転換を迎えていた時代、本書においてテヴィエは、それを理解できずに取り残されているようにさえ感じられます。しかし最後には、そういう在り方こそがユダヤ的なものなのかな、とも思えてもくる。何にも騒ぎ立てず、あるがままを当然とするような姿が、です。娘たちの姿からは、それと対するように時の経過を如実に感じられました。対比が美しい。2018/02/01

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