内容説明
夜の11時になると、まもるの家の下から怪しい震動音が聞こえてくる――。調査に乗り出したまもるは、古文書などから、この地域には何百年も前から60年ごとに不思議な現象がおきていたことを知る。怪現象の中心地に調査にむかうまもるたちの前に、古い子守歌どおりのねじれた松葉や強い磁性をおびたくぎがあらわれ、謎はますます深まっていく。冒険、友情、そしてほのかな恋を、宇宙と人類という壮大なスケールの中で描く、小学生でも楽しめるSFエンターテインメント大作。小松左京がモリミノル名義で出版した漫画『ぼくらの地球』のワンシーンを引用した詳細解説つき。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
26
ジュブナイルSFの名作。ある住宅地の地下から怪しい音が聞こえるようになります。不審に思った少年や彼のクラスメート、先生たちが音の源を突き止めようとすると……。壮大なスケールで描かれたSFで、読みだしたらやめられない面白さ。特に前半の雲をつかむような不思議な事件の連続には異様な迫力を感じました。後半では、主人公たちがこの宇宙全体の命運を握ることになります。大宇宙に広がるいくつもの銀河の描写は真に迫っており、美しいです。人間の強い意志があれば、宇宙全体の運命を変えられるという作者の描き方に深く共感しました。2024/09/14
森博嗣作品が好き
18
深遠で素晴らしいSF作品!! ジュヴナイルと思えないほど物理学&天文学の真理?!を表現していることが凄い!!それでいて少年少女向けだから判り易いということも凄い!! 今から40年以上も前の作品なのに色褪せていないことも素晴らしい!! もの凄い内容が 表紙で理解出来ちゃうことも素晴らしい! 2015/07/20
深海魚
7
ジュブナイルSFながら、先が気になって一気に読める。謎の提示の仕方や話のスケールの大きさなどなど、小松左京の良いところが詰まっていて楽しい。こういう絶版になって久しい古い本も、電子書籍のおかげで手軽に読めてありがたい。2019/08/18
タケミチ
7
長篇ジュブナイルSF。SFとしてもジュブナイルとしても本道を行ってると思う。謎の怪音から端を発し、スケールがでかい程度では済まされないレベルのスケールまで飛躍していく。登場人物の会話なんかは古びているかもしれないけれど、ストーリーとしては古びていない。子どもの科学への興味を開いてくれるだろう、良いジュブナイルSF。大人が読んでも面白い。2017/10/04
火星人碧
6
もはや何も書くことがないのに書いている。毎年この本を読んでいるのだから。何が自分をこんなに惹きつけるのだろう。ジュブナイルとして書かれてはいるが理解しにくい記述もある。ウィッテンベルヒ博士や勇者キザボといったキャラクターが立っている。始まりからミステリアスで、ホラーかとも思わせる。どうやら地球文明のものではないと思うと、話が進んで後半は壮大な物語になってゆく。初めて読んだ中1の頃に、何十年後も読み続ける本になるとは想像していない。今でも不思議だ。面白い本は他にもたくさんあったのに。2025/07/29