検証 日本の「失われた20年」―日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか

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検証 日本の「失われた20年」―日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか

  • 著者名:船橋洋一【編著】
  • 価格 ¥2,772(本体¥2,520)
  • 東洋経済新報社(2015/05発売)
  • ポイント 25pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784492396179

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内容説明

日本の「失われた時代」の原因として、次の5つが指摘できる。
 その第一は、「最優先課題」と「損切り」の先送りである。これは、バブル崩壊後、金融機関が背負い込んだ不良債権の処理をめぐって典型的に表れた。
 第二は、部分最適と全体最適のトレード・オフを克服し、全体の利益を追求する国家戦略を打ち出せなかったことだ。政府が重要な決定を下すにあたって、全体最適解を下そうとする際、それに抵抗する政治力の強い組織的ストレスを克服できず、その組織の部分最適解を優越させてしまう。このことは、国家課題に関する明確な政策優先順位を設定し、それを容赦なくかつ効果的に追求し、実現する意思と能力の不在とリーダシップの不在を示している。
 第三は、既得権益層の岩盤構造である。これは、既得権益層がインサイダー集団を形成し、そこで手にするレント(過剰利潤)を守るために改革に抵抗する政治的に強固な構造のことである。
 第四は、政府も企業も「成功体験の虜」になったことだ。グローバル化とIT化と新興国の台頭と挑戦という新たな環境の下でも、日本企業の多くは高度成長期のビジネス慣行を維持し、それにしがみついていた。
 最後の第五は、官民問わずに危機意識が不十分だったことだ。日本の危機感の乏しさは、この間に深まった日本人の悲観主義の高まりと著しい対比を成している。そうした危機感なき悲観論の傾向は二一世紀初頭にはすでに明瞭に表れていた。
 これら五つの原因のうち、部分最適解と全体最適解のギャップにこそ、日本の「失われた時代」の本質がある。
 日本の「失われた時代」の行方は、世界に大きな意味を持つだろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

トリッコロ

4
失われた20年は戻らないが、日本の再出発を妨げている一番の障壁は、官僚的な部分最適を指向して、全体最適を図る戦略家を育ててこなかったことかもしれない。2015/10/10

くれの

4
長い停滞期に鑑みる多角的な見地からのレビューです。これからの日本と冷静に向き合う機会を得る一冊になりました。ただ過去を批評するだけではなくそこに得た経験をどう活かすべきかが明示されていて好感が持てます。2015/07/20

しんさん

2
震災、コロナ、東京五輪と続くこの10年が、後世どのように総括され、自分の中で整理がつくんだろうかと思いながら読みました。「我々がやってきたことは間違っていなかった」といえるよう、引き続き精進いたします。2023/02/01

Great Eagle

2
なかなか興味深い内容でした。人口減少、金融財政、外交問題、教育問題、日中問題、労働格差、企業競争力、原発問題などなど、どれをとっても難問だらけです。しかし、そこに潜む課題を正面から正しく理解し、どのような解決策を持って対応するか、しっかりとした議論と決断と実行が欠かせないのだろうと思います。先送りや小細工対応などの積み重ねではより良い社会はやってきませんね。2015/11/15

ワッキー提督

1
たいへん勉強になったが、世代的なものなのか「失われた」という言葉に最後まで付いていけなかった。2016/05/29

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