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内容説明
2008年のリーマンショックを機に、経済学への信用は失墜した。
経済学は、いつから、どのようにして象牙の塔の学問となったのか?
失われた信用を取り戻すために、経済学はこれからどこへ向かえばいいのか?
チェコ共和国で大統領の経済アドバイザーを務めた気鋭の論客が、
神話、哲学、宗教、経済学の文献を渉猟しながら、21世紀の経済学の進むべき道を示す。
--経済学の歴史を深く知ることは、経済学の可能性を最大限に示してくれる。
--経済学は、その始まりのときと同じように、倫理の問題を取り扱うべきだ。
--経済の研究が、科学の時代から始まったわけではない。
刺激的な主張を繰り出し、経済学のルーツを探る旅に読者を誘う。
・チェコで7万部を超えるベストセラーとなり、15カ国語に翻訳され、2012年にドイツのベスト経済書賞(フルランクフルト・ブックフェア)に輝いた話題作。
・チェコの初代大統領、ヴァーツラフ・ハヴェル氏によるはしがきつき
・チェコを代表する気鋭の経済学者による主流派経済学批判
・主流派経済学へのもやもやした不信感のすべてをずばっと記述!
・専門家がまゆをひそめるような刺激的な主張の数々。
経済学は物語の力を信じるべきだ/経済モデルは虚構、もっといえば神話にすぎない?/
人間はこれだけ好き勝手にやっていながら、それほど幸福でないとしたら悲しいことだ/
経済学者は何の予知能力も持ち合わせていないにもかかわらず、社会科学のなかで
いまだに将来予測にひどく熱心なのは、経済学者である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
114
経済学の本というよりも、有名なむかしからの本を採り上げて、そこに経済に関連するような言葉などを分析しているようです。経済の本というよりも経済に関連した思想の歴史を本をもとにして語ってくれる気がしました。最近の難しい理論などはあまりないので、経済になじみが薄い人も入門的な感じで読まれるのがいいのでしょう。マンデヴィルの「蜂の寓話」があるのにはびっくりしました。私は楽しめました。2017/10/24
壱萬参仟縁
34
2009年初出。どんな経済学も、結局のところ善悪を扱っている(7頁)。もともとは価値を研究する学問だったものが価値排除をめざすとは、矛盾ではないか(9頁)と疑義を呈する。本書は 経済学の人格(傍点)が育まれていく過程を示した(10頁)。著者の経済学観は、人間の関係性を研究する学問で、数字で表せないものがあるという(21頁)。経済学へのケインズの最大の貢献は、知覚不能なものを復活させたことにある。不確実性である(84頁)。奇しくもガルブレイスも『不確実性の時代』を書いていたことを想起した。2015/10/22
かんやん
30
ギルガメッシュ叙事詩、旧・新約聖書、古代ギリシャ哲学(エピクロス派とストア派)、神学……経済学以前の人類の思考に現れた「経済」を分析すると見えてくるもの。元来経済は倫理の一部であり、近代経済学の祖アダム・スミスは『道徳感情論』の著者でもあった。それが、いつしか倫理は忘れられ、価値中立性の名の下、ツールである数学が幅を利かせるようになった。かなりストレートな経済学批判であり、際限なく拡がる先進国の債務への道徳的なお説教であった。計量経済学なんて絵に描いたモチさって。これって学界はどう受け止めたのかな。2024/08/10
Shin
28
こういう本こそ読む価値がある、と思わされる本。様々なウィットに満ちたアナロジーを散りばめながら、現代の主流派経済学が〈失ってしまったもの〉を拾い集めていく道程は、単に経済学だけではなく、現代の合理性至上主義(と私たちが思っている有り様)に対する鋭くかつ暖かみに満ちた戒めでもある。成長は全てではないし、この世に理想的な「ホモ・エコノミクス」は存在しない。理解を容易にするためのモデル化は必要だが、それに現実を当てはめようとした途端に学問は無用の長物となる。人間は、もっと人間らしくあっていい。2016/07/06
y_nagaura
23
「私悪すなわち公益」というマンデヴィルあたりから、経済学から倫理がどんどん希薄になる様が描かれているのが圧巻。 神話やキリスト教と経済倫理の関係性や、「見えざる手」アダム・スミスや、「アニマルスピリット」ケインズへの誤解など、それぞれ一般に知られるものとは異なる思想を持っていたことも明らかに。 経済学の本でありながら、哲学や倫理学、正義論でもある。とても刺激的な本でした。 終盤の主流派経済学、成長資本主義への執拗な攻撃はちょっと蛇足感があるかも。2019/01/15
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