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内容説明
ニーチェの真意、ハイデガーの試み、ケインズの卓見……20世紀はあらゆる哲学、思想、社会運動が「ニヒリズム」と対峙した時代であった。本書は京都大学における「現代文明総論」講義をまとめたもの。現代の先進国に生きるわれわれは、かつてなく自由になり、便利で快適な生活環境を実現してきた。しかし、本当に、われわれは「善き社会」を実現できているのか? 西田幾多郎と「近代の超克」について論じた京都大学最終講義を収録。解説・松原隆一郎。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
23
西洋の近代化こそザ・歴史で進歩していくものという観念は19世紀後半には既に悲観され、20世紀を通して顕著になっていった。グローバル化、自由化を進めるほど相対的に西洋の世界に占める割合は小さくなっていった。日本においても、戦前の過度な愛国主義と批判される近代の超克に関わる議論が交わされたそうだが、改めて世界史の視点からどうだったのか振り返ると21世紀へのヒントになるかもしれない。ニーチェ、ハイデガー、オルテガ、西田哲学の流れが保守かつナショナリズムな香りを漂わしている。2020/04/04
双海(ふたみ)
17
卒論を提出したらまたきちんと読みたいなぁ。一度読んだだけでは理解が不十分な気がして…2015/03/05
masabi
13
西欧近代の帰結として現代はニヒリズムに覆われているとする。ニヒリズムによって至高の価値を純粋に信じられなくなった人々は確固とした足場を失ってしまった。20世紀前半は大言壮語なファシズムが、後半と現代には自由や民主主義、グローバリゼーションが人々の拠り辺となり、絶対化される。しかし、筆者は自分なりの見方を持ち、絶対化した価値を懐疑的に再考する必要性を説く。ニヒリズムは近代の産物であり、ニヒリズムの克服は近代の超克だとして処方箋を京都学派に求める。2015/08/31
ドクターK(仮)
5
世の中に対する自分なりの見方を持っていなければ、どれだけ知識を身に付けても本質的な理解には結びつかないと著者は冒頭で述べているが、本書を読み進めていくほど、この考え方が説得力を帯びてくるのを感じた(もちろん、それは著者の力量に依るところが大きいのだが)。近代化の進展は絶対的な価値や生の目的を喪失させ、ニヒリズムを生み出し、根無し草的な大衆が社会の前面に現れた。このニヒリズムや大衆社会の病理を診断し、克服するための糸口を、著者はニーチェやハイデガーの哲学、そして西田幾多郎を始めとする京都学派の思想に求める。2015/07/08
バルジ
3
良書。ニーチェの「ニヒリズム」とハイデガーの『存在と時間』の解釈はこれまで読んだ類書の中でもっともわかりやすい。そして個々の古典の意味を現代文明へと照らす時、思わぬ直線が見えてくる。正直ニーチェのニヒリズムからケインズまて何が繋がるのか不明であったが、本書を読むと「近代」がその原初から孕んでいた問題を彼らなりに剔抉し、彼らなりの処方箋を描いていたことがわかる。ニーチェはニヒリズム、ケインズは後にケインズ経済学と称された体系がそれである。時を見てまた本書を再読したい。再読する価値ある1冊であるから。2026/04/24
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