内容説明
■連載――●科学者の散歩道●第一四回
青い地球は誰のもの / 佐藤文隆
■連載――●家族・性・市場●第一〇七回
精神医療現代史へ・追記 10 / 立岩真也
現代思想の新展開2015 思弁的実在論と新しい唯物論
【討議】
未来の自然 / Ph・デスコラ+中沢新一
【ポスト・ポスト構造主義へ】
物化せよ、存在者化せよ ブルーノ・ラトゥール試用 / 小泉義之
交差(キアスム)交換と人間 / 清水高志
【インタビュー】
思弁的実在論と新しい唯物論 / 千葉雅也 岡嶋隆佑(聞き手)
【思弁的実在論】
亡霊のジレンマ 来るべき喪、来るべき神 / Q・メイヤスー 岡嶋隆佑訳
【新しい唯物論】
新しい都市のマテリアリズム / 篠原雅武
【オブジェクト指向存在論】
環境主義 / T・モートン 小川緑訳
第一哲学としての美学 グレアム・ハーマンの存在論 / 星野太
【自然の美学】
眼差しなき自然の美学に向けて イメージ論の問題圏(二) / 岡本源太
コスミック・コスメティック 装いのコスモロジーのために / B・プレヴォー 筧菜奈子+島村幸忠訳
プロトタイプ 芸術作品の新たな身分 / E・デューリング 武田宙也訳
【「モダニティ」の彼/此岸】
存在論をおりること、あるいは転倒したプラトニズムの過程的イデア論 / 近藤和敬
暴力・テロル・情念 『革命について』に見る近代 / 重田園江
【討議】
「過ぎ去ろうとしない戦後」をどうするか / 赤坂真理+大澤真幸+成田龍一
■研究手帖
歴史の想像力と民主主義 / 小山裕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
23
清水高志氏とメイヤスー目当て・・・だったが、間にいろんな本を読んだりして、本書を読み終わるのに1年ほどかかった。終わらない近代、「過ぎ去ろうとしない戦後」というものの一つの節目になりそうな予感を孕んだ一冊。かつて伊藤剛が、現在というものがこれまでにないほど延長されているように思うといったことをどこかで述べていたが、近代や戦後が終わらないということは、いつまでもこのままでいたいのか、たとえ形だけだとしてももはや新しいもの(未来)が見えないということなのか。2017/12/14
壱萬参仟縁
17
佐藤文隆「青い地球は誰のもの」の一節に、ゲーテ推奨の雲の分類法なるものがある(24頁下段~)。巻雲、層雲、積雲は現在の気象学でも継承。気圧や湿度のニュートン的気象学とも整合的な分類とのこと。人類学者の対談:デスコラ×中沢新一「未来の自然」で、中沢氏は、人の領域=里と、動植物域=山とあり、里山は中間領域で接続されているという(36頁下段)。里山の里化と、里山の山化を望む要求の矛盾が生じる。日本人は大妥協して里山をつくろうとしてきた。昨今の中山間集落の獣害はその典型で、これは動物の山化を図った結果である。2015/02/03
兎乃
13
クァンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』再読。2015/09/03
すずりん
1
都市部ではなんとなく公園や小川に自分は愛着を持っていたのだけれどそこでは自然/人工物のセミラティス構造が演出されていて振る舞いが解されるようになっているとかそんな感じの篠原雅武氏の都市環境論が妙に納得いった。マテリアルを主客論に併置させることで関係が三者以上になり立体的かつフラットなネットワーク構造が浮び上がってくるような論考が多い印象を持った。そしてそれは日本的な風土に馴染み易い思想ということなど。NM(New Materialism)やANT(Actor Network Theory)等に興味が沸いた2014/12/29