内容説明
今、解き明かされる野沢流ミステリーの真相と深層。少年時代から江戸川乱歩やエラリー・クイーンを読んでいた著者は、高校時代にシナリオに目覚めた。その後、傑出した脚本家として、ミステリードラマ史上に燦然と輝く名作『眠れる森』『氷の世界』『リミット』などを世に問う。犯人は誰か、毎回盛り上がる視聴者とネット世論。最終回で明かされた驚愕の真相――それらはどんな発想で生まれたのか。著者のプロットの端緒からシナリオが完成するまでのプロセスと合わせ、著者の発想を公開したドラマ脚本論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mimimama
5
大好きな作家野沢尚さんの本ということで、軽い気持ちで読み始めたのですが、中身はとても重厚で、野沢さんの覚悟とかドラマ作りへの真摯な姿勢、そして少しだけですが、死を選んでしまった理由も垣間見えた気がしました。でも、悲しいけれど、野沢さんはもう新しい作品を生み出してはくれない。遺してくれた作品を探しては、野沢さんのことを思いながら楽しみたいと思います。野沢ファンは必読の書です。2015/02/09
法水
3
野沢尚さんが『喪服のランデヴー』『眠れる森』『氷の世界』『リミット』などを中心に創作プロセスを明かした著書。『眠れる森』の覚書で自殺について述べられているくだりが切ない。脚本家を目指す人のみならず、ドラマや映画が好きな人なら読んで損はないはず。 最後には『ネット・バイオレンス』という単発ドラマが覚書、プロット、ハコ書きを経て、シナリオになるまでがそのまま収録されている。もし野沢さんがご存命だったら、このドラマで描かれているような憎悪表現がネットから現実世界に伝播してしまった今の日本をどう思ったんだろう…。2015/01/16
matsu
2
読了後、無性にシナリオを書いてみたくなる短絡した俺。まぁ、やめておこう。しかし、「眠れる森」は素晴らしいドラマだと事ある毎に口走っていた俺だが、なるほど、こんな風に組み立てられていたんだなぁ。つくづく惜しい作家を無くしたね。我々は。2014/09/29
wakaba
1
度々読み返したくなる本。2度目読了。野沢尚さんが描く登場人物の履歴書が面白い。眠れる森の直季とゆりの履歴書も読んで見たかったな。ネットバイオレンスは配信されてないのかな。夏川結衣と北村一輝主演だし面白そう。彼は「人生」に触れた作品が多く、どんな悲惨な人生でも自分で受け容れなくてはならないていう言葉をこの本にも書かれていたのに、、残念だった。2025/09/10
バーニング
1
キャラクターの履歴書を作るという話は知っていたがそれは脚本を整合的に組み立てるための一つの要素でしかなく、他にも様々な工程で豊富なこだわりを見せていることがよく分かる一冊。通常できあがったものしか読者や視聴者は見ることがないが、ここまで具体的に手の内を明かすというのも珍しい。もう少しで没後10年になるが、埋もれていたと思われる本書の文庫化は非常にありがたい。2014/04/24
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