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内容説明
「おもしろき こともなき世を おもしろく」――幕末長州藩の風雲児・高杉晋作が詠んだというあまりにも有名な辞世である。松下村塾で吉田松陰門下の逸材として久坂玄瑞と併称され、武士だけでない庶民参加の軍隊「奇兵隊」を日本史上初めて組織し、長州藩を「討幕」に向けてまとめ上げた。しかし後年、病に伏した高杉は明治維新を見ることなく29歳で病没している。この若さで、これほど気宇壮大に生きながら、この辞世の意味するところは何か。著者は、高杉の生き方を「面白くもない世の中を、面白く生きられるように仕掛けて行った」ものと喝破する。そして、激動の生涯を追いながら、かれが自分で自分にどう仕掛けて行ったかを、現代的な視座でたどりながら描いていく。歴史小説であるとともに、「面白い生き方は、自分が面白く作っていかなければならない」という著者のメッセージが込められている。2015年大河ドラマ「花燃ゆ」の主要登場人物。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
95
おもしろきこともなき世をおもしろく。この言葉が好きです。その胸中とはどのようなものであったかを凝縮していますね。松陰先生の意志を継いだその半生は、面白いことを仕掛けた狂人であり、いかなる危機にも毅然と対峙した冷静沈着な人物でもあったことがわかります。その行動は全て自らの意思で行ってきたというところに惚れずにいられません。忠誠心と時代を見極める力が高杉さんを幕末屈指の人物に作り上げたのだと思います。奇兵隊を率いた倒幕の男。その生き様は矛盾という魅力であふれていました。2016/06/10
優希
62
「おもしろきこともなき世をおもしろく」の言葉が好きです。高杉晋作の辞世ですが、これを詠んだ彼の胸中はどうだったかに興味を持ちました。松蔭先生の門下の逸材とされ、騎兵隊を倒幕の中心に押し上げた力はとにかく凄いの一言です。自分から面白いことを仕掛けたかと思えば、危険に大して毅然と振る舞ったその生き方は、幕末屈指の生き方そのものと言えるでしょう。高杉さんの魅力は、冷静且つ動く人物像だと思いました。2020/10/17
ロビン
19
NHK『歴史探偵』高杉晋作回に触発されて一読。吉田松陰の弟子であり、師の思想と上海渡航の経験を発酵させて「奇兵隊」を創設、第二次長州征伐ではその軍才を発揮して幕府軍を撃退するも、結核によって夭折した幕末の風雲児である。著者、また山岡荘八などは高杉の本質を「詩人」であると評していて、これは単に詩をものするという意味ではなく、気質が純粋であり、他者への共感や感受性に富み、高杉の場合その合理性とともにある種の理想、ロマンを持っている人間ということかもしれない。松陰との絆、父親への孝心、主君への感恩なども魅力だ。2023/10/30
ue3104
3
おもしろきこともなき世をおもしろく。 この辞世の句が大好きで、僕の座右の銘にしている。 日本を大きく変えた明治維新。その中心になった人たちは思いの外若く、20代30代。現代の我々がいかに甘やかされて育っているかがわかる。 面白かったと言って、終われる人生にしたい。2020/11/07
たー
1
★★★☆☆2020/07/19