内容説明
留学先のニューヨークで目的意識もないまま過ごしていた恭平と篤郎のもとを、意外な人物が訪ねてきた。メッツの日本人ピッチャー、進藤だ。チームメイトにかけられた窃盗の疑いを晴らすために、クラブハウスボーイのアルバイトとして潜入しろという。さっそくメッツのホームスタジアムで働きはじめた二人は、選手の世話で大忙し。大量のユニホームの洗濯と食事の準備に追われている間に、またもや盗難事件が――。海外で奮闘しながら成長していく若者の姿を、活き活きと描いた青春連作ミステリ。文庫化に際して書き下ろしを1編加えた決定版。解説=吉井理人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hnzwd
40
メジャーリーグのチームの裏方である"クラビー"をする日本人二人を主人公とする日常?の謎な短編集。メジャーリーガー達の悩みを凸凹コンビが解決していくスタイルは、野球好きでなくとも楽しめるかと。新刊の際には『ボールパークの魔法』だったのが、主人公にとって重要な話である「次のヤツ出てこい」を加えたら『ボールパークの神様』。素晴らしい改題。2015/11/28
マッちゃま
25
これまた初読み作家さん。野球絡みのミステリと云うと、ぶっちゃけ「事実は小説よりも奇なり」を強く感じる事が多く、どうミステリとして成立させていくか?に注目して読んでいます。本書はアメリカのメジャーリーグにおけるクラビー(球場内のバイト)を主人公に据えた「お仕事ミステリ」のような感じでした。いわゆる謎解き度はスーパーライトで、彼ら(主人公)と共にファンでも知らない世界を楽しもう的なスタイルが出来る野球ファン(特にメジャー)にならばオススメです。世界は広く野球の世界も広い、そう感じました。2017/05/20
おくりゆう
18
創元推理というレーベルですが、ミステリ要素は薄目。しかしながら、やはり作者の安定した野球に対する取材や知識が生み出す設定やストーリーラインには野球好きを引きつける魅力があります。この本もご多分に漏れず。続編も出来そうですが、どうなんでしょう。2016/10/25
Yuki
16
メジャーリーグの選手たちの雑用をこなす主人公と、そのルームメイトが、ちょっとした謎を解く短編集。ガツンとくるというわけではないですが、気軽に読めて楽しめました。キャラがなかなか魅力的で、読後感が良かったです。初読みの作家さんでしたが、別の作品も読んでみようかなと思います。2020/04/07
きょん
16
ミステリというよりは、メジャーリーグの裏話を楽しむお話。親からの仕送りに頼るモラトリアムな日本人の若者二人を筆頭に何だか頼りない登場人物が多かった。しっかりしてそうなのは、恭平母と美咲さんの女性キャラだけかなあ。元メジャーリーガーの吉井選手の解説が面白かった。2015/05/27